研究課題/領域番号 |
15K07758
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 健太郎 北海道大学, 獣医学研究科, 講師 (80374627)
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研究分担者 |
岡松 優子 北海道大学, 獣医学研究科, 講師 (90527178)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | トーパー |
研究実績の概要 |
哺乳類と鳥類を特徴づける最も重要な特性の一つは恒温性である。これらの動物は体温を36~40℃に保ち、高い活動性を維持している。この恒温性という観点で興味深いのは、ある条件下では動物が自発的に体温を大きく低下させることである。これを冬眠やトーパー(日内休眠)と呼ぶ。このうち、トーパーとは、一日のうち数時間の間、体温を環境温度近くまで低下させる現象のことである。哺乳類・鳥類の恒温性維持の意義を明らかにするには、その恒常性破綻の糸口を調べることが有益であろう。本研究では体温の恒常性が大きく変化する現象としてトーパーを取り上げ、その生理機構についての知見を得ることを試みる。これまでの研究によって、安定的にマウスにトーパーを誘導する実験系を確立することが出来たため、当該年度ではトーパー発現中のマウスの様子を詳細にモニタリングするところから研究に取り組んだ。トーパー発現中のマウスをビデオ撮影したところ、体温が30℃以下の状態でもマウスは動いていることが判明した。また、従来は絶食処置によってトーパーを誘導していたが、摂餌量を変化させずとも、摂取カロリー量を低下させればトーパーが発現することが明らかとなった。さらに、トーパー発現時に、人工的に覚醒を促すと、マウスは直ちに自発的に動くことが出来ることも判明した。これらの事から、従来考えられていたよりも、日常的な環境でトーパーが発現していることが示唆された。また、外部からの刺激にすぐに反応することが出来るため、通常の飼育下では飼育者がトーパー発現に気が付くことは困難であることも予想された。以上によって、トーパーの発現機構に関わる知見を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画と同程度の進捗状況で研究を進めることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで順調に研究を進めることが出来ているので、このまま現在の研究方針を維持する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めたところ、体温が30℃以下の状態でもマウスは行動可能であることが明らかとなった。これは、当初の予想を上回る発見であった。そのため、この現象の解明を優先して、研究に取り組んだ結果、研究に取り組む項目の順番を変更する事となった。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度から持ち越した実験を次年度に実施する予定である。次年度使用額は、この実験に使用する。
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