昆虫の越冬休眠では,凍結や低温障害を避けるためにグリセロールを増加蓄積するケースが多い。このしくみは,細胞内外の水やグリセロールの細胞膜を介した再配分である。その生体膜機能を調べるためにグリセロール輸送タンパクを特定し,それを組み込んだ人工膜(リポソーム)実験系の確立をめざした。昆虫細胞においても,アクアポリン(AQP)が水分子の選択的通過路であるだけでなく,グリセロールも輸送可能なAQPの分子種(アクアグリセロポリン: GLP)として分布する。幼虫のすがたで越冬休眠するニカメイガから休眠期で機能するAQPやGLPを特定し,その分子の輸送特性や越冬期の役割を追究した。
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