研究課題/領域番号 |
15K07798
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研究機関 | 公益財団法人国際科学振興財団 |
研究代表者 |
北條 優 公益財団法人国際科学振興財団, その他部局等, 研究員 (80569898)
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研究分担者 |
重信 秀治 基礎生物学研究所, 生物機能解析センター, 特任准教授 (30399555)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | タイワンシロアリ / キノコシロアリ / オオシロアリタケ / Termitomyces / Odontotermes / 共生 / RNA-seq |
研究実績の概要 |
亜熱帯域に生息するキノコシロアリであるタイワンシロアリの生息状況を、2016年4月-2017年1月にかけて、台湾各地にて調査した。その結果、タイワンシロアリは台湾の平野部の公園等でごく普通に見られることが明らかになった。採集したワーカーの腸内容物からDNAを抽出し、オオシロアリタケに特異的なリボゾーマルDNA領域のプライマーを用いてPCRを行い、その共生菌の種を特定した。その結果、台湾には2種のオオシロアリタケがタイワンシロアリと共生していることがわかった。またそれらの塩基配列を決定した結果、1種は日本のオオシロアリタケと同種で、もう1種は中国大陸に分布するオオシロアリタケと同種であることが判明した。 また、台湾南部の台南市において年間を通してオオシロアリタケの子実体の発生調査を行った。その結果、台南では5月から11月までにかけて、子実体の発生が見られ、特徴の異なる2つの子実体を採取することができた。DNA解析から、これらはシロアリの腸内容物から抽出した2種のものと一致した。同所的に生息するこれら2種の子実体の発生には明らかな時間的な棲みわけが見られることも明らかになった。オオシロアリタケの発生は日本では短期間に集中して発生し、その時期は年によって異なるため、発生状況を観察するのが難しかった。今回の結果から、台南ではオオシロアリタケの子実体は最も普通に見られるキノコであり、日本のオオシロアリタケとは違い、長期にわたって発生し続けることが明らかになった。 日本に生息するタイワンシロアリの大小ワーカーにおけるRNA-seqの解析は、レファレンス配列の作成が終了し、現在はそのアノテーション解析をおこなっているところである。またレファレンス配列に対するリードのマッピング、カウンティングを行い、大小ワーカーの菌園構築に行動における発現の異なる遺伝子の探索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、研究代表者の所属の異動により、当初予定していたフロリダでの国際学会発表、およびラオスでのキノコシロアリの調査を行うことができなかった。しかし、当初の予定にはなかった台湾の国立成功大学との共同研究体制を構築することができ、日本だけではできなかった野外での子実体の調査を1年間通して行うことができた。 台湾では環境の違いからタイワンシロアリの室内での飼育が難しいため、飼育実験はできなかった。これについては次年度に行う予定である。また、当該年度行うことができなかったラオスでのキノコシロアリの調査も次年度に行う予定である。 トランスクリプトームの解析については、概ね予定通り進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度行った台湾での室内でのタイワンシロアリの飼育は、気温や湿度などの違いにより失敗した。次年度は日本国内において、温度、湿度を管理できる状態で、タイワンシロアリの飼育実験、行動観察を行う予定である。飼育実験の結果から、菌の伝播方法に関する結果をまとめ、発表を行う予定である。 またトランスクリプトーム解析については、これまで分析したデータを用いて、コンピューター上で菌園構築に関わる遺伝子の探索、発現解析を行う。またタイワンシロアリおよびオオシロアリタケのドラフトゲノムの解読も次年度に行い、それらの結果を論文にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は日本と台湾を行き来して研究を遂行しており、当初の計画であった飼育や実験を十分に行うことができなかった。そのため、購入予定であった試薬消耗品、実験器具類、少額の機器類などの物品費は次年度に繰り越すことにした。また、予想に反して、台南で長期間オオシロアリタケの子実体の発生が見られたため、継続して調査するために、フロリダでの国際学会に参加することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は日本国内で飼育、実験を行う予定であり、そのために使用する試薬消耗品、実験器具類、少額の機器類等の物品費が必要となる。また西表島や沖縄本島、台湾などのサンプリングにかかる旅費も必要となる。さらに、当該年度に行うことができなかったラオスへの調査にかかる旅費も、次年度に使用する計画となる。
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