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2015 年度 実施状況報告書

クロスズメバチ(地蜂)の巣を原料にして創る新シルク素材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K07803
研究機関国立研究開発法人農業生物資源研究所

研究代表者

亀田 恒徳  国立研究開発法人農業生物資源研究所, 新素材開発ユニット, ユニット長 (70334042)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード昆虫利用 / タンパク質素材 / シルク素材
研究実績の概要

本研究は、クロスズメバチ(方言でヘボと呼ぶ)幼虫のマユ(ヘボシルク)が、ハチ類のシルクの中でも特に素材化に適していることを学術的に解明し、新素材として有用であることを示すことを目的としている。
本年度は、ヘボシルクを集化リチウム水溶液に溶解後、水で透析する過程での状態変化を各温度で検討し、ホーネットシルクと比較した。その結果、ヘボシルクのゲル化温度はキイロスズメバチのホーネットシルクよりも20℃以上高く、また、コガタスズメバチやヒメスズメバチのホーネットシルクよりも10℃以上高いことがわかり、ゲル化しにくいことがわかった。ヘボシルクとホーネットシルクは遺伝子の相同性が高いことがわかっており、上述のヘボシルクとホーネットシルクの違いは、シルクタンパク質のアミノ酸配列のわずかな違いに起因している可能性が高いと考え、ヘボシルクのアミノ酸配列を決定することを目的とした遺伝子解析を開始した。
さらに、ゲル化温度以下で透析したヘボシルクはβシート含量が少ないことが固体NMRからわかった。二次構造の安定性とアミノ酸配列との関係についても、遺伝子解析を通じて明らかにできる可能性が示唆れた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H27年度に予定していた計画がほぼすべて達成された。さらに、ホーネットシルクもスズメバチの種類によってゲル化挙動に違いがあることが見出されたことは予定にはなかった成果である。

今後の研究の推進方策

ヘボシルクのアミノ酸配列を決定することを今後の主要課題とする。クロスズメバチの幼虫はシルク腺(絹糸腺)にヘボシルクタンパク質を蓄えていることから、シルク腺にヘボシルクタンパク質の遺伝子が高発現していると予想している。そこで、幼虫からシルク腺を取り出してtotal RNAを抽出する。total RNAを逆転写してcDNAを調製し、目的のタンパク質のアミノ酸配列を推定する。
すでに、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、オオスズメバチのホーネットシルクの遺伝子解析は済ませており、アミノ酸配列の比較ができる状況にある。こうした配列比較を通じて、アミノ酸配列のどの違いがシルクの物性に影響を与えているのかを明らかにしてく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度計画の中にヘボシルクのアミノ酸配列を決定することを目的としたクロスズメバチ幼虫絹糸腺の遺伝子解析を計画し、関連する試薬類の購入費を消耗費として計上していた。通常、遺伝子解析には多くの試行実験が必要であり、都度、試薬が必要になるが、今回は、少ない試行実験で解析が成功したたため、試薬費を予定よりも低く抑えることができた。
また、当初、豪州に研究打合せのための旅費を計上していたが、双方の都合が合わず打合せが実現しなかった。これによって、旅費分の残金が発生した。なお、豪州での打合せは最終年度に行う予定の素材開発に関する打合せであることから、H27年度に実現しなかったことによる研究への影響はない。

次年度使用額の使用計画

昨年度に予定していた豪州での研究打合せを行うための旅費に使用する予定である。さらに、遺伝子解析の精度を上げるための操作を組み込むための試薬代として利用する。

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公開日: 2017-01-06  

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