研究課題/領域番号 |
15K07805
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
稲垣 英利 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (90344126)
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研究分担者 |
江口 克之 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30523419)
紺野 勝弘 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 客員教授 (40215471)
増子 惠一 専修大学, 経営学部, 教授 (50202312)
数馬 恒平 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 客員助教 (70552446)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | アリ / 神経毒 / ナトリウムチャネル |
研究実績の概要 |
アリの食性はきわめて多様化している。その中には特定の動物のみを選択的に狩り、餌とする種も少なくない(狭食・狩猟性アリ類)。そうした種の多くは、尾部の毒針から神経毒を餌動物に注入することによって狩りをするとともに、餌動物の形態と行動に則して自身の形態と行動を適応させている。本研究では、系統的に大きく離れた狭食・狩猟性アリ類から網羅的にペプチド系神経毒を同定し、対応する餌動物のナトリウムチャネルに対する阻害活性を測定する。このことによって、餌動物のナトリウムチャネルの構造と特性の変化に合わせて、狭食・狩猟性アリ類がペプチド系神経毒の選択的毒性を対抗的に変化させてきたことを証明することを目的としている。 本年度は、国内および東南アジアの複数のアリから、新奇ペプチド系神経毒の同定を予定していた。東南アジアのアリからの新奇ペプチド系神経毒の同定にはあまり進展はなかったが、国内のアリからは複数の新規ペプチド系神経毒の候補を同定することに成功した。また、アリゲノムのデータベース上に登録されているペプチドからペプチド系神経毒の候補を選択し、ペプチドの組換え体での発現・精製を試みている。これらのペプチドの中には、活性や特異性の異なる様々な生理活性を有するものがあると推測されるので、今後、これらのペプチドの各種昆虫ナトリウムチャネルに対する阻害活性を測定したいと考えている。また、アッセイ系については、現在測定に用いているショウジョウバエのナトリウムチャネルとは系統の異なる、ムカデのナトリウムチャネルのアッセイ系の構築を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は追加採択であったために研究のスタートが遅れてしまった。また、当初の計画では東南アジアの研究試料も用いる予定であったが、研究試料の受け入れ手続き等に手間取り、この部分の研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
東南アジアの研究試料の受け入れ手続きを早急に進めて、これらの試料から迅速に、新奇ペプチド系神経毒を同定したいと考えている。また、すでに我々が国内のアリから新規に同定しているペプチド系神経毒の候補と、アリゲノムプロジェクトの成果としてデータベース上に登録されているペプチド系神経毒の候補の生理活性を、早急に測定したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末にかかる形で論文投稿を行い、その投稿料の出版社からの請求が次年度にずれ込んだ。そのため、その分の予算を次年度に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越した予算から速やかに、論文投稿料を支払う。
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