研究課題/領域番号 |
15K07814
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中野 智子 中央大学, 経済学部, 教授 (70295468)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 炭素循環 / 半乾燥草原 / 土壌凍結・融解 / モンゴル国 |
研究実績の概要 |
本研究では、半乾燥地域に生育する草原生態系を対象として、特に土壌の凍結時および凍結‐融解サイクル時の二酸化炭素の放出量とその放出メカニズムを明らかにすることを目的とする。 研究対象としているモンゴル国バヤンウンジュル村の草原では、10月に土壌の凍結が始まり、3月から4月にかけて融解する。平成28年8月に二酸化炭素フラックス自動測定装置および地温・土壌水分センサ―をバヤンウンジュル村の観測地点に設置し、以降30分間隔の連続自動測定を実施している。平成29年度は8月に現地調査を行い、これらのデータを回収して解析した。 その結果、土壌からの二酸化炭素の放出は秋から冬にかけて減少し、厳冬期にはゼロとなり、その後冬から春にかけて再び増大するという季節変化が見られた。また秋季・春季には二酸化炭素放出量は日中に増大し夜間に減少するという明らかな日変動を示し、地温の変動と高い相関を持つことが示された。一般に二酸化炭素放出量を推定する際には5㎝深の地温が用いられるが、本研究の結果からは5㎝深の土壌が凍結している場合でも地表面がわずかに融解すると、二酸化炭素の放出が始まることが示された。また秋季においては、一旦土壌が凍結した後に融解すると、パルス的な二酸化炭素の放出が見られる場合があったが、春季においてはそのような放出は見られなかった。現在も30分間隔での自動計測を継続中であり、今後、年による違いなどについても検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二酸化炭素フラックスの自動測定装置を設置したことで、冬季ならびに土壌の凍結-融解が繰り返される春季・秋季のデータが連続的に得られるようになった。停電などによる一時的な欠測はあるものの、ほぼ1年にわたる期間のデータが得られ、解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施中の二酸化炭素フラックスの自動計測は、平成30年8月にまで継続する予定である。8月の現地観測において、約2年にわたるデータが得られる予定であり、秋季・冬季・春季の二酸化炭素放出の量的評価とメカニズムについて、より詳細な検討ができるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
モンゴル国で実施している二酸化炭素放出量自動測定の計測期間を延長するため、平成30年3月に実施する予定であった現地調査(データ回収)を、平成30年8月に延期することとした。そのため3月に支出予定であった旅費を使用せず、この分を8月の旅費として使用したい。
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