研究課題/領域番号 |
15K07818
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
星野 裕子 (高田裕子) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター 物質循環研究領域, 上級研究員 (40354104)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 温室効果ガス / 亜酸化窒素 / 糸状菌脱窒 / メタゲノム解析 |
研究実績の概要 |
農業環境技術研究所内の畑圃場から経時的に採取したサンプル(土壌及び作物残渣)より分離した糸状菌およびサンプルについての解析を継続して行った。 分離糸状菌については、前年度は作物残渣サンプル由来の分離菌について解析を行ったが、本年度は土壌由来の分離菌についても同様に液体培養時のN2O生成活性を測定し、ITS領域配列による分類群の推定を行った。Penicillium属など土壌からも高い割合でN2O生成活性を示す菌が分離された。作物残渣から分離されたのと同じ分類群の菌も多数みられたが、土壌からのみ検出された分類群あるいは土壌では検出されなかった分類群もあり、菌の種により、存在する部位が異なることが示唆された。 環境サンプルについては、メタゲノム手法により前年度よりPCR-DGGE実験による糸状菌群集構造の解析を行っている。本年度は、さらに詳細なパターンの解析及びバンドの塩基配列を進めた。作物残渣と土壌の糸状菌群集構造は大きく異なっており、分離糸状菌で得られた結果と同様に、糸状菌種により存在部位が異なることが示唆された。また、N2O発生活性の高い糸状菌と同じ配列を持つDGGEバンドを追跡し、N2O発生活性の高い環境サンプルでバンド強度が増大することが明らかになった。N2O発生活性の高い菌の内1種類の菌について、定量PCRで存在密度を測定し、PCR-DGGEの結果と同様に、N2O発生活性の高い環境サンプルで存在密度が増大することを確認した。 一方で、PCR-DGGEによる解析では、微量な菌の検出感度や塩基配列解析に限界があるため、次世代シーケンスによる解析に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初に予定していた、圃場におけるN2O発生時期及び部位の特定に加え、糸状菌ITS領域を対象としたメタゲノム手法により、N2O発生活性の高い菌の圃場における動態の追跡を行い、分離菌については脱窒系遺伝子の配列解析に着手している。想定通りに研究が進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
分離菌については、脱窒系遺伝子の有無やその配列を明らかにするなど特性の解明をさらに進める。メタゲノム解析については、これまで行ってきたPCR-DGGE解析では、微量な菌の検出感度や塩基配列解析に限界があるため、次世代シーケンス解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究補助員の雇用について、期間途中での退職があり、代替人員が雇用できるまでに期間が空き、実質雇用期間が短くなったため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究補助員の雇用及び分離糸状菌の遺伝子解析や環境サンプルの微生物相解析のために必要な試薬や消耗品等に使用する予定である。
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