研究課題/領域番号 |
15K07820
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
横山 浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門畜産環境研究領域, 主任研究員 (40391370)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 微生物燃料電池 / 発電細菌 / 酸化鉄 / 菌叢解析 |
研究実績の概要 |
微生物燃料電池(MFC)は、畜産排水や都市下水など様々な有機性排水から発電(エネルギー回収)できる新しいバイオリアクターであり、発電と同時に排水浄化(有機物除去)できることから環境にやさしい技術として注目されている。しかし、微生物が電気を発生させる分子メカニズムは、殆ど解明されていない。そこで本研究は微生物発電における電子フロー(有機物の酸化反応で生じる電子が電極へと流れていく経路)を比較メタゲノミクスにより解明することが目的である。 昨年度までに電極を電子受容体、活性汚泥を種汚泥(種菌)、そして酢酸を唯一の炭素・エネルギー源とした培地でMFC培養を行った。比較として、MFC培養とは別に試験管で酸化鉄を電子受容体として利用する嫌気培養も行った。その菌群からDNAを抽出して、16S rRNA遺伝子のV4領域をPCRで増幅して、次世代シーケンサー(イルミナのMiseq)で解読してDNA配列を決定した。本年度は、そのデータをQIIMEで解析した。その結果、MFCではGeobacter属細菌が高度に優先化(46%)していることが判明した。一方、酸化鉄を電子受容体として培養した系では、Pseudomonas属細菌が高頻度に検出された。酸化鉄還元細菌は酸化鉄が存在しない環境では、酸化鉄の変わりにMFCの電極を電子受容体として利用すると考えられている。従って、MFC系と酸化鉄の系で集積される細菌群の構造は類似していると推測された。実際、多くのMFCで酸化鉄還元細菌であり、かつ発電活性を持つGeobacter属細菌が優先化することが知られている。しかし、今回の結果からGeobacter属細菌はMFCの環境では非常に優先的に増殖するが、酸化鉄を電子受容体として用いた場合、必ず優先化する訳ではないことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MFCと酸化鉄の2つの系の菌叢構造を解析できたため
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今後の研究の推進方策 |
発電細菌が活躍する別の実験系においても菌叢を詳細に解析して、電子フローを推測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進行したため、消耗品などの購入を少なくできたため
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次年度使用額の使用計画 |
次世代シーケンサーによる解析に必要な試薬類やMFC運転に必要な培地などの購入にあてる
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