研究課題/領域番号 |
15K07826
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
佐々木 邦博 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (10178642)
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研究分担者 |
大窪 久美子 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (90250167)
上原 三知 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (40412093)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 城下町 / 水路 / 庭園 / 残存 / 松代 |
研究実績の概要 |
松代城下町に残る水路、池のある庭園、建物の変化を調査した。水路は城下町全体において調査する予定だったが、重要である伝統環境保存区域内を調査した。それとともに、ミニ開発などの変化が見られたので、区域内において、敷地、建物、池のある庭園を、30年前の調査結果と比較する形で調査を進めた。 調査結果だが、馬場町で特に水路の水量が減少している。東側に位置する表柴町では従来の武家屋敷地の建物が取り壊され、新しい道路が造られて開発が進んでいた。敷地割自体が変わっていた。また、多くの古い建物や池のある庭も無くなっており、その名残もほとんど見られなかった。代官町や馬場町では、建物の裏側に広がる農地の一部が開発され、住宅地に変化したが、水路は付け替えられるなどして、保たれている。 水辺環境の水生生物における周辺の田園地域との違い(街中の残存状況)も調査した。地域的な特性としては流水環境においてヤナギモ群落の分布が顕著であった。また、下流の止水環境ではアザザ群落の分布が特徴的であった。街中の一部で残っている。 同じく城下町である山形県米沢市と福岡県雲仙市神代を調査した。米沢には城の絵図面が残され、二の丸に建てられたいくつもの屋敷の建物と庭の池を水路が結んでいる様子が描写されている。現在の二の丸跡地を巡ると、建物も庭も残されていなかった。明治時代以後に作られた庭園が存在している。博物館には発掘で発見された水路の写真が展示され、地下遺構として残っている可能性がある。神代では武家屋敷の名残である庭の池が現存している。松代で見られるような池と池を結ぶ水路も一部に存在している。 歴史的遺産である水路や庭池が消失していくことにはやむを得ない面があるとしても、名残をどのように残していくか、課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水路調査が、一部で遅れているが、平成29年度には終了する。 松代町東部に流れる蛭川(旧関屋川)の場所に、新しい道路を建設中であり、かつての川は暗渠化される。工事が進んだ後に、東部の水路調査を行う。 全体として、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の調査を、学生とともに5月末から始める。長野市の松代地区住民自治協議会は、文化遺産を活用してまちづくりを進めている長野市松代町の市民団体であるNPO法人夢空間松代のまちとこころを育てる会とともに、松代に残る庭園群の歴史的な価値を認識し、平成29年度、庭園の所有者の意識調査をしようとしている。協力して、個人の資産である庭園の池と水路の残存状況を詳細に調査し、どのように残っているのか、また改変されている場合にはどの部分が残されているのか、水路は付け替えられていないかどうか、調査を進める。 改変されたり消失した場合には、名残の有無を調べ、他の都市と比較しながら、名残のあり方を考察し、案を提案していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた水路調査の一部を、周辺の道路工事のため、次年度に延期したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、平成29年度請求額と合わせて、主に旅費と人件費に使用する計画である。
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