ブナ林下層を優占するチシマザサを対象とし,異なる樹種の林冠木あるいは林冠ギャップによる異なる光環境に対する順応性を明らかにした。稈の密度とバイオマスでは,ギャップで最も大きく,ブナ林冠下で最も小さく,ホオノキとミズメの林冠下ではその中間であった。そこで,チシマザサの葉面積,葉数,および個葉の光合成速度から稈1本当たりの最大光合成速度を推定したところ,ブナ林冠下で最も小さく,ホオノキ林冠下とギャップ下で差がなかった。こうして異なる光条件に応答し,それが稈の密度とバイオマスの違いを導いていることが示唆された。
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