研究課題
農作物の罹病斑から選択培地を介して単離された植物病糸状菌からは、マイコウイルスに感染された菌株が存在する。研究代表者らは、イネいもち病菌とAlternaria alternata菌に持続感染するマイコウイルスのうち、5本の2本鎖RNAをゲノムする新種ウイルスを単離し、国際ウイルス分類委員会(ICTV)にGhabrial教授(米国ケンタッキー大、国際分類委員会 (ICTV )菌類ウイルス部門長)やCoutts教授(英国皇帝大、ICTV同次期部門長)らとChrysovirus属クラスⅡ(β―Chrysoviridae)として定義してきた。植物病原菌にマイコウイルスが感染すると、宿主菌の病原性を弱めたり(弱毒化)、逆に強めたり(強毒化)する性質が付与されることがある。本研究において、研究代表者らはイネいもち病菌マイコウイルス(MoCV1-A)とAlternaria alternata菌マイコウイルス(AaCV1)由来で遺伝子配列情報だけでは機能が未知であるタンパク質の生物的活性を、パン酵母異種発現系を利用することにより、顕在化し得る評価系を改良し確立できた。MoCV1-A由来のORF4タンパク質(811aa)とAaCV1由来のORF2タンパク質(776aa)は、同一性が18.7%で類似性が62.9%はであり、共に酵母細胞内で発現させると生育阻害を生じさせることが明らかとなった。RNA-Seq解析の結果、MoCV1-A ORF4発現により生育阻害が見られた酵母細胞では、ストレス応答遺伝子の発現量が5~20分の1ほど減少することや、逆にリボソームタンパク質やメチオニン合成遺伝子、エルゴステロール系耐性(カタラーゼ、小サイズの分子シャペロン)に関与する遺伝子群の発現が増加していることなどが分かった。また、生育促進を促すするアミノ酸配列も新たに同定し、機構解析について着手した。
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