研究課題
Ca2+/CaM-dependent protein kinase I (CaMKI) はCa2+シグナリングで重要な役割を果たすプロテインキナーゼであり、活性化ループ内のThr残基が上流のCaMKキナーゼ (CaMKK) によってリン酸化されることにより活性化する.CaMKIのC末領域を欠損させた変異体 CaMKIα(1-294) は恒常的活性型フォームとして知られているが、大腸菌発現系で取得したCaMKIα(1-294)の活性は、CaMKKによるリン酸化を受け活性化したCaMKIαの活性には遥かに及ばない.本研究で我々は、CaMKIδ(1-299)は大腸菌内でT176, T186, S294, S296のいずれかを自己リン酸化することで高活性化するCaMKIアイソフォームであることを明らかにした。なお、この実験のために開発した大腸菌株 BL21(DE3)pλPPはカゼインキナーゼ I (CK1: 自己リン酸化により不活性化するSer/Thrキナーゼ) の調製に非常に有用であり、通常のBL21(DE3)を用いて取得した時に不活性型であるCK1が、この菌株を用いることで比活性の高い酵素として取得できるようになった.一方、ゼブラフィッシュ胚においてCaMKIδの遺伝子ノックダウン解析を行うと軟骨に異常を来す表現型が観察されることから、CaMKIδは胚発生過程において軟骨形成を正に制御している可能性が考えられる.そこで、この分子メカニズムを明らかにするために、大腸菌ツーハイブリッドスクリーニングを行い、CaMKIδと結合する2つの転写因子 (Dlx1とDlx5) を同定した。これらはCaMKIδによってリン酸化され、CaMKIδの新たな内在性基質として軟骨形成に関与している可能性が示唆された。
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