研究課題
研究代表者はこれまでに、三価ヨウ素試薬が有する「不飽和結合の活性化」と「ヘテロ原子供与体」の二つの機能に着目し、不活性不飽和化合物のメタルフリーな環化付加反応を開発した。本手法は、従来法で必要とされてきた「希少な遷移金属」を「低毒性かつ国内豊富なヨウ素」で代替えした点で有用であったが、適用できる基質などに制限を受けていた。そこで本研究では、「不飽和結合の活性化機能」を向上させた三価ヨウ素試薬を新たに創製して、独自に開発した環化付加反応の改良や他の環化付加反応への応用を行うと共に、これらの触媒反応へと展開することを目的とした。研究期間中に、1)高活性なイミノヨーダンの創製と本試薬を用いる[2+2+1]環化付加型イミダゾール合成法、2)三価ヨウ素触媒による[2+2+1]環化付加型オキサゾール合成法、3)イミノヨーダンの新規合成法及び触媒的発生、4)ヒドロキサム酸とジエンとの酸化的環化付加型反応とその触媒反応の開発に成功した。さらに、新たな三価ヨウ素試薬の創製を目的として、プロパルギルアミド誘導体の環化―官能基化反応をモデル反応として検討し、5)環化―窒素官能基化反応、6)環化―フッ素化反応、7)環化―ヨウ素化反応、及びこれらの触媒反応の開発にも成功した。以前の研究展開において、プロパルギルアミド誘導体の環化―酸素官能基化反応からアルキン類のメタルフリーな環化付加型オキサゾール合成法を見出しており、環化―官能基化反応に関する研究成果は、新たな環化付加型複素環合成法の開発の糸口となった。また、三価ヨウ素試薬に「不飽和結合の活性化機能」を付与する研究は積極的に行われていなかったことから、本研究成果は、超原子価ヨウ素の新たな反応性を提供すると共に、不飽和結合の活性化を必要とする他の有機反応研究に対して有益な知見を与えるものと考えている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 6件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
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