• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

薬剤耐性菌を克服する抗菌オリゴ糖の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K07857
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

山村 初雄  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80220440)

研究期間 (年度) 2015-10-21 – 2018-03-31
キーワード抗菌剤 / 耐性菌 / シクロデキストリン
研究実績の概要

従来型の抗菌剤に対する耐性菌の出現と蔓延は世界的問題である。これに対して細菌の膜を傷害する天然抗菌ペプチドは耐性菌に有効であると注目されている。研究者は複数のアルキルアミノ基を集積したオリゴ糖シクロデキストリンが細菌の膜を傷害し、天然ペプチドに匹敵する抗菌性を現すことを見出した。ここでは抗菌オリゴ糖の構造と活性の関係を調べ、その優れた特徴を理解して発展させるために研究を行った。本年度は、平成27年度に得られた合成研究の成果をもとに、シクロデキストリンを原料に、分子上のアルキルアミノ基の数が異なる物質を合成した。また、3種のシクロデキストリンのうち、もっぱらβおよびγシクロデキストリンと、複数の膜傷害基を環状に配置することが必須なのかを明らかにするために合成した直鎖のマルトオリゴ糖、グルコース、そして直鎖アミロース誘導体の合成を行い、グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌、枯草菌)、グラム陰性菌(大腸菌、ネズミチフス菌、緑濃菌)に対する抗菌性を、最小発育阻止濃度を測定して評価した。顕著な抗菌性を認めた物質については、MRSA等の薬剤耐性菌に対する試験を実施した。次に、溶血性試験を行い、血中投与を想定した動物細胞への毒性を評価した。そして細菌膜傷害については、細胞質膜傷害による細胞膜電位の変化を、蛍光色素(Disc3)を活用して、グラム陰性菌外膜の傷害は外膜が傷害されることで蛍光色素(NPN)が膜に取り込まれて蛍光を強めることで調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、各種シクロデキストリン誘導体およびマルトオリゴ糖誘導体を系統的に合成し、それを用いて各種試験を実施することが目的であった。研究実績の概要に記したようにシクロデキストリンおよびマルトオリゴ糖誘導体について抗菌性を最小発育阻止濃度によって評価し、動物細胞の毒性を溶血試験で評価し、細胞質膜およびグラム陰性菌外膜の傷害を蛍光色素を用いて定量的に評価した。

今後の研究の推進方策

平成28年度に得られた結果をもとに、残る抗菌オリゴ糖について、順次、合成を行い、グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌、枯草菌)、グラム陰性菌(大腸菌、ネズミチフス菌、緑濃菌)に対する抗菌性について明らかでない物質の最小発育阻止濃度を測定する。顕著な抗菌性を認めた物質については、MRSA等の薬剤耐性菌に対する試験を実施する。次に、溶血性試験を行い、血中投与を想定した動物細胞への毒性が評価する。そして細菌膜傷害について蛍光色素および外膜非透過性の抗生物質が活性をあらわす現象を活用して研究を行う。これらにより抗菌オリゴ糖の構造と活性の関係を系統的に明らかにして一般化し、薬剤耐性菌に対抗する物質へと展開する研究基盤を構築する。

次年度使用額が生じた理由

研究計画は円滑に遂行できたので、少額の次年度使用額を生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額と合算して使用し、年度末までに研究計画を円滑に遂行する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Syntheses and structure-membrane active antimicrobial activity relationship of alkylamino-modified glucose, maltooligosaccharide, and amylose2017

    • 著者名/発表者名
      Hatsuo Yamamura, Takahiro Mabuchi, Tomoki Ishida, Atsushi Miyagawa
    • 雑誌名

      Chemical Biology and Drug Design

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 細菌膜傷害による抗菌性シクロデキストリン誘導体のクリック反応による合成、構造および活性の相関2017

    • 著者名/発表者名
      山村 初雄 石田 智基 野中 美帆 宮川 淳
    • 学会等名
      日本化学会第97春季年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-29
  • [学会発表] アルキルアミノ基を導入した抗菌α及びβ-シクロデキストリン2016

    • 著者名/発表者名
      野中美帆、石田智基、宮川淳、山村初雄
    • 学会等名
      第33回シクロデキストリンシンポジウム
    • 発表場所
      高松
    • 年月日
      2016-09-08 – 2016-09-09
  • [学会発表] アルキルアミノ基を導入した抗菌γ-シクロデキストリン誘導体2016

    • 著者名/発表者名
      萩原達也、林勇磨、野中美帆、石田智基、宮川淳、山村初雄
    • 学会等名
      第33回シクロデキストリンシンポジウム
    • 発表場所
      高松
    • 年月日
      2016-09-08 – 2016-09-09

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi