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2015 年度 実施状況報告書

真に実用的なペプチド・タンパク質機能制御を可能とする刺激応答型アミノ酸の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K07858
研究機関徳島大学

研究代表者

重永 章  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 講師 (10423394)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード刺激応答 / トリメチルロック / ペプチド結合切断 / ラクトン化
研究実績の概要

本研究では真に実用的なペプチド・タンパク質機能制御系の構築を目的とし、高速アミド結合切断反応を開発したのち刺激応答型アミノ酸へと展開する。刺激応答型アミノ酸とは、外部からの刺激によりペプチド主鎖アミド結合の切断を誘起する人工アミノ酸と定義する。
生命科学分野において、細胞外から細胞内現象を制御する方法が求められている。申請者はこれまで、刺激応答型アミノ酸を基盤とした細胞内でのペプチド機能制御系の構築を行ってきた。この結果、リアルタイムでの機能制御を可能とするには、アミド結合切断反応を加速する必要があることが明らかとなった。そこで本研究では、まず高速アミド結合切断反応を開発したのち、これを基盤とした刺激応答型アミノ酸を設計・合成する。さらに本アミノ酸を鍵分子として用い、真に実用的なペプチド・タンパク質機能制御系の構築に挑戦する。
本研究は下記順に従って進めることとした。1.アミド結合切断反応の追跡を容易とする系の構築、2.高速アミド結合切断ユニットの開発、3.アミノ酸誘導体の合成、4.ペプチド機能制御への展開、5.タンパク質機能制御への展開。
申請者はまず、上記1および2について検討した。詳細は「現在までの達成度」の項に示す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は下記1および2について検討した。1.アミド結合切断反応の追跡を容易とする系の構築、2.高速アミド結合切断ユニットの開発:5種類の化合物の合成に挑戦する。
この結果、蛍光を指標としてアミド結合切断反応を簡便にモニタリングする方法を確立した。さらに本手法を用い、同反応が一次反応であることを明らかにするとともに、その反応速度を反応中間体の半減期で比較できることを実証した。続いて、高速アミド結合切断ユニットの開発を目指し、芳香環上のメチル基をtert-ブチル基へと置換した誘導体の合成に挑戦した。しかし合成の各過程において、様々な副反応に遭遇した。当該副反応はメチル体では観測されなかったことからtert-ブチル基の立体障害に起因すると考え、現在、tert-ブチル基をイソプロピル基へと置換した誘導体の合成に取り組んでいるところである。
以上に述べた通り、反応速度の評価系構築に成功し、また誘導体合成設計の際の課題が明らかとなり、さらにその解決のための方向性を見出すことができたことから、本研究はおおむね順調に進行していると評価した。

今後の研究の推進方策

「現在までの進捗状況」の項にて記載した通り、誘導体設計の際の課題が明らかとなった。そこで今後は、置換基をtert-ブチル基からイソプロピル基へと変更した誘導体の合成を行う。さらにこれと並行して他の誘導体の合成にも挑戦し、高速アミド結合切断ユニットを見出す計画である。

次年度使用額が生じた理由

既存の器具や試薬を使用することができ、消耗品費が抑制されたため。

次年度使用額の使用計画

翌年度分と合わせ、各種試薬や器具を購入するための費用に充てる計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Facile preparation of peptides with C-terminal N-alkylamide via radical-initiated dethiocarboxylation2016

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T.; Miyajima, R.; Naruse, N.; Yamaoka, K.; Aihara, K.; Shigenaga, A.*; Otaka, A.*
    • 雑誌名

      Chem. Pharm. Bull.

      巻: 64 ページ: 375-378

    • DOI

      10.1248/cpb.c15-01025

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Facile synthesis of C-terminal peptide thioacids under mild conditions from N-sulfanylethylanilide peptides2016

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T.; Miyajima, R.; Sato, K.; Sakamoto, K.; Naruse, N.; Kita, M.; Shigenaga, A.*; Otaka, A.*
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 72 ページ: 992-998

    • DOI

      10.1016/j.tet.2015.12.070

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Development of an intein-inspired amide cleavage chemical device2016

    • 著者名/発表者名
      Komiya, C.; Aihara, K.; Morishita, K.; Ding, H.; Inokuma, T.; Shigenaga, A.; Otaka, A.*
    • 雑誌名

      J. Org. Chem.

      巻: 81 ページ: 699-707

    • DOI

      10.1021/acs.joc.5b02399

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Design and synthesis of a hydrogen peroxide-responsive amino acid that induces peptide bond cleavage after exposure to hydrogen peroxide2015

    • 著者名/発表者名
      Kita, M.; Yamamoto, J.; Morisaki, T.; Komiya, C.; Inokuma, T.; Miyamoto, L.; Tsuchiya, K.; Shigenaga, A.*; Otaka, A.*
    • 雑誌名

      Tetrahedron Lett.

      巻: 56 ページ: 4228-4231

    • DOI

      10.1016/j.tetlet.2015.05.060

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ペプチド化学を基盤としたケミカルバイオロジー研究のための基盤技術の開拓2016

    • 著者名/発表者名
      重永 章、大高 章
    • 学会等名
      日本薬学会第136年会(シンポジウム「疾患代謝」から解明される生命現象と創薬研究への応用)
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-03-26 – 2016-03-29
    • 招待講演
  • [学会発表] ペプチド化学を基盤としたケミカルバイオロジー研究のための基盤技術の開拓2015

    • 著者名/発表者名
      重永 章
    • 学会等名
      名古屋大学大学院生命農学研究科食品機能化学特別セミナー
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-16 – 2015-10-16
    • 招待講演
  • [学会発表] タンパク質自己編集システムを範としたアミド結合切断反応の開発2015

    • 著者名/発表者名
      小宮千明、粟飯原圭佑、猪熊 翼、重永 章、大高 章
    • 学会等名
      第三十一回若手化学者のための化学道場
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場(兵庫県淡路市)
    • 年月日
      2015-08-27 – 2015-08-28
  • [備考] 研究室ウェブサイト

    • URL

      http://www.tokushima-u.ac.jp/ph/faculty/labo/otaka/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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