研究課題/領域番号 |
15K07862
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
栗山 正巳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (40411087)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 重水素 / 芳香族 / 触媒反応 / 遷移金属 / カルベン |
研究実績の概要 |
1.芳香族塩化物を基質とする重水素化反応(基質適用範囲の検討):パラジウム-アレーン相互作用を比較的安定に生じる構造を持つ配位子前駆体を用いて基質適用範囲の検討を行った。多様な官能基が共存可能であることが明らかとなり、複素環骨格をもつ基質に対しても広い一般性が得られた。さらに、多様な官能基を複数有する生物活性物質を基質として用いたときにも問題なく反応は進行し、合成工程の終盤においても十分な活用が可能であることが示された。
2.フェノール誘導体を用いた重水素化反応(スルファメート型基質):豊富に存在するフェノール類を活用するために、スルファメートに誘導して重水素化を試みた。スルファメートを足掛かりとする優れた合成的応用が知られているが、パラジウムなどの遷移金属に対して不活性であるためにニッケル触媒を用いて検討を行った。芳香族塩化物に対して用いた配位子前駆体の構造を基盤として構造最適化を行うことにより、スルファメートに対しても有効な触媒系の確立に成功した。
3.フェノール誘導体を用いた重水素化反応(ノナフラート型基質):スルファメートに対して有効な触媒系の確立に時間を要したことから、反応性に優れるノナフラートを基質としたフェノール類の活用を平行して試みた。ホスフィン系配位子を用いることによりパラジウム触媒存在下においてノナフラートの良好な変換が可能であることを見いだした。トリフラートの適用も試みたが、基質の分解が観測されたことからトリフラートを用いた反応条件の最適化は断念した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応条件の最適化が概ね順調に進行しており、目的とする反応の1つについては優れた基質一般性の確立にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
目的反応のすべてについて広い基質一般性の確立をはかると共に、実践的合成を指向した応用的展開へも挑戦する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の一部が予想と異なる展開となったことから研究費の繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は研究方針に柔軟性を持たせることで研究進度を高め、研究費の使用状況を計画通りに戻す予定である。
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