研究実績の概要 |
① Et 770を創薬シードとする新規医薬品の開発:これまでの研究からがん細胞増殖抑制効果の増強が期待される2'-N-アシル誘導体(11個)を新たに合成し、その生物活性を評価したところ、ほぼ予想した活性発現の傾向が確認できた(Chem. Pharm. Bull., accepted)。 ②我々が開発したレニエラマイシン G全合成中間体(Tetrahedron, 2012, 68, 4166-4181)からレニエラマイシン M, I, S, および Tへの変換にそれぞれ成功した。この結果、本系天然物の柔軟な合成が可能となった(Tetrahedron, in preparations)。③AB環に相当する既知光学活性テトラヒドロイソキノリンとE環に相当する特徴的な置換様式を保持したチロシン誘導体から光学活性レニエラマイシンTの初の全合成に成功した(J. Org. Chem., accepted)。④ビス-p-キノンの還元により生じるビスヒドロキノンの位置選択的アシル化による新規レニエラマイシン誘導体の一般的合成法を開発し、その生物活性を評価した(J. Nat. Prod., submitted)。⑤各種左半部モデル化合物の合成とともに、光照射によるシクロペンタン-1,3-ジオン環形成反応を見出した。本反応はEt 770に特徴的なA環置換様式の構築に関連が深い興味あるラジカル反応を含んでいる(Synthesis, in preparations)。⑥前項に示した新規反応の応用としてレニエラマイシンMからレニエラマイシン Tへの変案に成功し、様々なレニエラマイシンT誘導体の合成と細胞毒性試験の展開に発展させた(未発表)。
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