研究実績の概要 |
①タイに生息する群体ホヤ由来Et 770を創薬シードとする新規医薬品の開発:11種の新規-2'N-アシル誘導体について腫瘍細胞に対する細胞毒性試験を実施し、構造と生物活性の相関を評価した。この研究成果を公開した(Chem. Pharm. Bull., 2016, 64, 966-969)。②青色海綿の新たな極微量成分の単離・構造解析により7-desmethyl- renieramycin Oであることを明らかにした(Heterocycles, 2017, 95, 748-752)。③昨年度に達成したレニエラマイシン T(RT)の不斉全合成(J. Org. Chem., 2016, 81, 4039-4047)に続き、RT(ラセミ体)の全合成に成功した(Tetrahedron, in preparation)。現在、光学活性体とラセミ体の生物活性比較試験を展開している。④レニエラマイシンM(RM)の還元により生じるRMビスヒドロキノンがミトコンドリアに依存する経路でヒトの肺がん細胞のアポトーシスを誘発することを見出した(Anticancer Res., 2016, 36, 6327-6333)。⑤ビス-p-キノンの還元により生じるビスヒドロキノンの5位選択的アシル化反応を発見し、新たなレニエラマイシン誘導体群の一般的合成手段を開発するとともに構造活性相関を検討した(J. Nat. Prod., DOI: 10.1021/acs.jnatprod.7b00068)。⑥各種レニエラマイシン左半部モデルのp-キノン部分が光照射により対応する1,3-ジオキシシクロペンタン環に高収率で変換できることを見出し、このユニークな変換をRMからRTへの変換に適用した(未発表)。
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