研究実績の概要 |
(最終年度の成果)非対称ジアリールメチレンイミダゾリノン(asym-DAIN)誘導体の開発研究として、昨年度に着手し始めたオルト置換型asym-DAINアナログ(os-asym-DAIN)の合成研究、ならびにその対照アナログとなるオルト置換型ベンジリデンイミダゾリノン誘導体(os-BDI)の合成研究を実施した。os-asym-DAINの合成においては、昨年度に見出した新規反応を用いることにより収率は低いものの合成に成功し、また、os-BDIにおいては、常法による合成が可能であった。これらオルト置換型アナログは、分子内共役付加反応による蛍光スイッチOFF/ON機構を狙った設計であるため、その蛍光スイッチ機構について評価実験を行った。os-asym-DAINについては、反応条件を種々検討したが、目的のスイッチON体の生成は確認できなかった。一方、os-BDIにおいては、生成率は低いものの中性条件下にてスイッチON体の生成が1H-NMRにて確認できた。しかしながらos-BDI体においても、スイッチON型に相当する構造は確認できたものの、蛍光強度の増加は観察できなかった。本結果については、os-BDIアナログの初期構造が蛍光物性に不十分なためであったと考えられるため、初期構造のチューニングにより改良は十分に可能と想定している。一方、os-asym-DAINについては、その求核性部位の求核力に問題があると考えられるため、まずはその改良が必要である。以上の結果より、本年度では新規蛍光スイッチOFF/ON分子の開発には至らなかったが、次の展開へと繋がるヒントや知見を得ることができた。 (期間全体の成果)4年間の成果として、E,Z-異性化により異なる蛍光特性を示すasym-DAINの開発に成功した。また、蛍光スイッチ機能を目指したos-asym-DAINの初期的研究を遂行した。
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