研究課題/領域番号 |
15K07885
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
東 顕二郎 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (40451760)
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研究分担者 |
森部 久仁一 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50266350)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Indometacin / Poloxamer / 結晶多形 / Suspended state NMR / ナノ粒子 / Cryo-TEM / 湿式粉砕 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、初めにSuspended state NMR 測定に適するモデル系のスクリーニング検討を行った。次に、ナノ粒子形成が認められたIndomethacin (IMC)/Poloxamerナノ懸濁液についてSuspended-state NMR測定によりその分子状態を評価した。 各種薬物と界面活性剤についてスクリーニング検討を行った結果、IMCとPoloxamerについて24時間、湿式混合粉砕を行うことにより平均粒子径約260 nmの安定なナノ粒子が形成されることを見出した。さらに、3種類の異なる結晶形(γ形、α形及び非晶質)のIMCを用いた場合でも、同様の粒子径のナノ粒子が形成されることを明らかとした。Cryo-TEM測定の結果、初期結晶形に依存して得られるナノ粒子の形態は異なった。Suspended state NMR測定を行った結果、結晶性のIMCを用いたGM懸濁液では、粉砕過程で初期結晶形を維持したままIMCがナノ粒子化したことが明らかとなった。一方、非晶質IMCを用いたGM懸濁液では、ナノ粒子形成過程において、ほぼすべての非晶質IMCがα形IMCへと転移した。このことから、Cryo-TEM測定で示されたIMCナノ粒子の形態の相違は、IMC結晶形の違いに由来することが示された。また、3種GM懸濁液いずれのSuspended state NMRスペクトルにおいても、IMCナノ粒子表面に吸着した運動性が低いPoloxamerを検出できた。このナノ粒子表面のPoloxamerがナノ粒子同士の凝集を防ぎ、水中での分散安定化に寄与していると考察された。これまでに、ナノ懸濁液中の薬物結晶多形の識別や表面の界面活性剤の検出を報告した報告は限られる。本研究は近年開発の進む高品質のナノ粒子調製に向けた有用な知見を与えるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた(1)モデルナノ懸濁液の調製及びナノ粒子のサイズ・形状評価、(2)1次元13C NMR測定まで終えることができた。NMR緩和時間測定については、得られた結果を現在解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、当初の予定通り各種NMR応用測定により各ナノ懸濁液の詳細な分子状態を明らかとする予定である。Piroxicam/Poloxamerナノ懸濁液をモデルとして用いて、二次元HETCOR測定を行う。
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