研究実績の概要 |
PQBP1は小さく折りたたまれたWWドメイン(WWD)とYxxPxxVLモチーフを含む長大な天然変性領域からなり、スプライシング調節因子WBP11やスプライソソーム構成因子U5-15kDに結合する。WBP11に結合するWWDはPQBP1のN末端側に位置し、U5-15kDに結合するYxxPxxVLモチーフはPQBP1のC末端領域に位置している。PQBP1のYxxPxxVLモチーフはU5-15kDの疎水性表面に結合し、両者の結合は主に疎水性相互作用により安定化されていることがわかっている(Mizuguchi et al., Nat Commun. 2014;5:3822.)。しかし、U5-15kDの疎水性表面の周辺には極性のアミノ酸残基も存在しているため、疎水性相互作用に加えて静電的相互作用や水素結合が重要な役割を果たしている可能性が考えられた。そこで本研究では、U5-15kDの分子表面に存在する極性アミノ酸をアラニンに変異させ、PQBP1とU5-15kD変異体との結合を表面プラズモン共鳴(SPR)で調べた。調べたU5-15kD変異体は、D15A, E22A, E50A, D68A, K71A, E74A, K88A, H89A, E117A, R121Aの10種類である。その結果、U5-15kDの疎水性表面の周辺に位置するD68, E74, H89がPQBP1との結合に重要であることが分かった。さらに、PQBP1のP244A, Y245F, Y245V, P246A, S247A, G249A, G249V, V251L, V251F, L252V, L252Fを作成し、U5-15kDとの結合を調べた結果、PQBP1のY245, P246, P248, G249, V251, L252がU5-15kDとの結合に特に重要であることが示された。
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