研究課題
血液や尿の中には、数千を超える代謝物を含めた低分子化合物が、多種多様に混在し、その濃度も極端に異なっている。これら代謝物の多くは、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、等の各種の官能基を有している。また、これらの代謝物の中には、光学異性体が含まれているが、光学異性体を識別するには、通常のLC-MS法ではエナンチオマー間の分離ができないため不可能であり、光学活性部位(不斉炭素)を有する試薬で標識し、ジアステレオマーとすることが必要不可欠である。そこで、アミノ基およびカルボキシル基用の光学活性標識試薬の開発を実施した。さらに、R,S反転試薬を合成し、これらの試薬とLC-MS/MS法によるプレカーサーイオンスキャン及び多変量解析を併用する方法により光学活性な代謝物を網羅的に検出する方法を提案した。提案した方法の有用性を、プール血清に光学異性体を添加した試料により検証した。また、本法を糖尿病患者唾液およびアルツハイマー病患者剖検脳のバイオマーカー候補物質の探索に応用した。
2: おおむね順調に進展している
数種の光学活性誘導体化試薬を合成し、光学異性体のバイオマーカーを探索する方法を提案・検証し、実試料への応用を試みた。
今後は、合成した試薬類の実試料への適用と光学異性体バイオマーカー探索を引き続き行うとともに、非侵襲的試料(唾液、爪、毛髪)を用いた各種疾病診断法を確立、評価し応用する。
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