本研究では、非侵襲的な試料である唾液、爪、毛髪を試料とし、疾病の診断に関連したマーカー分子を特定し、早期診断に繋げることを目的とした。 唾液を用いた検討から、糖尿病では、D-乳酸の割合が健常者に比較し優位に高いことを、また乳がん患者では、ポリアミン類の比率が健常者と異なることを明らかとし、統計解析から導きだした判別式から乳がんの進行度を予測できることを示した。一方、痛風患者の爪では、尿酸値が高いことを示した。更に糖尿病患者の毛髪からは、数種のN-アセチルアミノ酸が優位に高いことを見出した。このように本研究により、診断試料としての唾液、毛髪、爪の有用性が示唆された。
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