MAP2K7の野生型およびC218Sの結晶構造解析を行い、Cys218の側鎖ととP-loopの相互作用がスイッチとなるATP非結合型の自己阻害機構を明らかにした(論文発表)。MAP2K7は蛋白質サンプルが不安定なことから、医薬品開発を促進する高精度構造が得られていなかった。そこで、分子表面システインの置換により安定変異体を見出した。さらにJAXAの協力を得ながら国際宇宙ステーション「きぼう」において安定変異体の高品質結晶を調製し、1.3Åという高分解能構造解析に成功した。得られた高精度構造から、C末端配列が関与する第2の自己阻害機構が明らかとなり、高選択性MAP2K7阻害剤の設計が期待される知見を得た(論文投稿準備中)。 一方、MAP2K3及びMAP2K5について、アフィニティーカラム及び陰イオン交換カラムを組み合わせた高純度精製法を確立した。ATPアナログとの複合体を調製し、結晶化条件のスクリーニングを行ったところ、PEG3350を沈殿剤とした条件でそれぞれ微結晶を得た。SPring-8あるいは高エネルギー研究開発機構においてX線実験を行ったところ、MAP2K3については3Å、MAP2K5については8Å分解能の回折点を観測した。今後は結晶化条件の最適化を行い、構造解析レベルの結晶を得る。さらに構造解析の結果から、それぞれ自己阻害構造に関わるアミノ酸を見出し、変異体の活性測定などを行う。
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