研究課題/領域番号 |
15K07899
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
広野 修一 北里大学, 薬学部, 教授 (30146328)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ドラッグデザイン / イン・シリコ / フラグメントマッピング / 3D-Pharmacophore / バーチャルスクリーニング |
研究実績の概要 |
「リガンド結合サイトに対する特性球配置プログラムの作成と特性球表現されたリガンド結合サイトのデータベース化」と「サブサイト類似性1 次検索プログラム及びサブサイト重ね合わせ用SUPERPOSE プログラムの作成(両プログラムを統合してフラグメントマッピングプログラムFsubsiteと名付けた)」は前年度に完成したので、その実効性を検証した。具体的には、そのフラグメント化合物が結合している蛋白質側のサブサイトを用いて検索したとき、まず、自分自身が上位にランクされるか、次に、同じフラグメント化合物が結合している別の蛋白質がヒットするかを検討した結果、全ての場合で有効性が実証された。そこで、このデータベースとプログラムを用いたin silico創薬手法を「フラグメントマッピング法」と名付け、この手法を蛋白質-蛋白質相互作用(PPI)界面の予測に適用した。その結果、複数の例でPPI界面を正しく予測することができ、有用性が示された。 続いて、酵素阻害剤の探索に本手法を適用し、有用性を検証した。標的酵素としてはPAD4(Peptidyl Arginine Deiminase4)を用い、Fsubsiteとサブサイト-フラグメントデータベースを用いてPAD4タンパク質上に分子フラグメントをマッピングし、その配置パターンに基づいたバーチャルスクリーニングを行うことで、既存のPAD4阻害剤とは異なる骨格を有するPAD4阻害剤候補を探索した。その結果、阻害活性を有すると予想される化合物( in silicoヒット化合物)を複数選別することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究で開発した、データベースとプログラムを用いたin silico創薬手法を「フラグメントマッピング法」と名付け、この手法を蛋白質-蛋白質相互作用(PPI)界面の予測に適用した結果、複数の例でPPI界面を正しく予測することができ、PPI阻害剤開発における有用性が示された(H28年度の目標達成)。さらに、酵素阻害剤の探索例として、PAD4(Peptidyl Arginine Deiminase4)系に本手法を適用し、バーチャルスクリーニングを行った結果、阻害活性を有すると予想される化合物( in silicoヒット化合物)を複数選別することができた。現在、これらの新規骨格を有する in silicoヒット化合物の購入と阻害活性の測定を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
開発した「フラグメントマッピング法」の有用性のさらなる検証と応用研究を行う。 いくつかの蛋白質-蛋白質複合体系に適用し、妥当なフラグメントの同定が可能かどうかを検証する。そして、それらのフラグメントから実際のPPI 阻害剤の構築が可能かどうかを、得られたフラグメントセットを用いた3D-pharmacophore based virtual screeningを通して検証し、本手法のPPI 阻害剤開発における有効性を検討する。併せて、いくつかの酵素系の阻害剤(オルソステリック/アロステリック)探索にも適用し、有用性を検証する。
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