研究課題
本研究では生体肝像における酸化還元(レドックス)変化の非侵襲的な測定に向けたレドックスプローブ修飾リポソームの作成を試みた。昨年度までにリン脂質とレドックスプローブであるニトロキシルラジカルを結合させたDMPE-PROXYLを作成し、DMPE-PROXYLを含むリポソームがDMPE-PROXYLの濃度依存的にMRI造影効果があることを明らかにした。最終年度ではリン酸緩衝液中と血漿中における本リポソームの安定性について検討した。どちらの溶媒中においてもDMPE-PROXYLの濃度依存的なESRシグナルの増加とMRI造影効果を示し、リポソーム調製後1週間程度は粒子径、ESRシグナル、MRI造影効果を維持していた。これは本リポソームは、調製後動物への投与までリン酸緩衝液で保存することが可能であること、血漿中で分解などが起こらず、臓器までプローブが安定に運ばれる可能性が高いことを示している。動物へ投与するにあたって、安定性が高いことは非常に有利である。さらに本リポソームを動物に投与し、その体内分布についてMRIとX-band ESRを用いて検討した。X-band ESRの測定からリポソームが肝像や脾臓に集積していることが判明し、MRI画像では脾臓付近で輝度上昇が認められ、本リポソームが動物においても造影効果があることを示すことができた。これは本リポソームをレドックス評価に用いることができる可能性を示している点で重要である。ただし、レドックス評価を行うには輝度の増加が小さく、DMPE-PROXYL濃度についてさらなる検討が必要である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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