研究課題
1. これまでにポリアミンにより翻訳制御を受けることが明らかとなっているCCT2蛋白質はシャペロニン複合体CCTのサブユニットの一つである。そこで、ポリアミン生合成阻害剤により細胞内ポリアミン量を低下させた場合、他のサブユニット量が変化するのかについてWestern blottingで調べた結果、CCT2を含む8つすべてのサブユニットが減少することを見出した。さらに、それらのいくつかのサブユニットのmRNA発現量をRT-PCRにて解析したところ、変化は見られなかった。このことからCCT2同様、ポリアミンによる翻訳制御を受ける可能性が示唆された。2. ポリアミン生合成阻害剤存在下で分化誘導したBMMC(マウス骨髄由来マスト細胞)のヒスタミン及びポリアミン量をHPLCで素早く同時分析するために溶離液のpHを検討した結果、2時間の測定を30分に短縮することができた。3. BMMCにおいて、ポリアミンよるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)の発現制御に関与することが示唆された転写因子Klf4(Kruppel-like factor 4)は、分化誘導時のポリアミン生合成阻害剤によりmRNA量は変化せず蛋白質量が減少することを明らかにした。4. ポリアミン生合成阻害剤の有無による培養を行ったマウス乳がん由来FM3A細胞から翻訳状況の異なるmRNAを分離するために、ショ糖密度勾配遠心の条件検討を行った。その結果、翻訳状況を示すポリソームパターンを検出できる条件を決定することができた。
2: おおむね順調に進展している
ポリアミンによる翻訳制御を受ける可能性のある新しい蛋白質の候補も見出しており、研究は順調に進展している。しかし、Klf4遺伝子がポリアミンにより翻訳制御を受けるメカニズムを解析するためのリポーター遺伝子の作製が成功に至っていない。
ポリアミンの有無より翻訳状況が異なるmRNAを分離し、網羅的に遺伝子の同定を進めることでポリアミンによる遺伝子発現制御の全体像を明らかにする。そして、同定された個々の遺伝子が制御を受けるメカニズムを分子レベルで解析していく。
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http://www.p.chiba-u.jp/lab/bunseki/index.html