研究課題
1. シャペロニン複合体CCTの8つのサブユニットすべてが細胞内ポリアミン減少によって低下したこと及び発現量の解析では変化が認められなかったことから翻訳制御の可能性が示唆された。そこで、すべてのサブユニットのmRNAの5'-UTRをレポーター遺伝子としてluc2につないだプラスミドの作製を行った。6つのプラスミドについては作製に成功し、NIH3T3細胞へのトランスフェクションを行った。ポリアミン生合成阻害剤の有無による効果を検討した結果、CCT1、CCT4、CCT6では、ポリアミン減少によりルシフェラーゼ活性の低下が認められた。2. BMMCにおいて、転写因子KLF4がポリアミンにより翻訳制御を受けることが予想されたため、5'-UTRをluc2につなげたレポーター遺伝子の作製を行い、成功した。ポリアミン生合成阻害剤の有無によるトランスフェクションの実験により、ポリアミン減少によるルシフェラーゼ活性の低下が明らかになった。さらにKLF4にはuORFを含む複数の開始コドンが存在しており、それらの認識が翻訳制御に関わる可能性が示唆されたので、部位特異的変異導入により、レポーター遺伝子プラスミドの作製を行い、解析を進めている。3. ポリアミン生合成阻害剤の有無により培養したFM3A細胞からショ糖密度勾配遠心法により翻訳状況の異なるmRNAを分取した後、次世代シーケンシングにより発現量の網羅解析を行った。その結果、ポリアミン生合成阻害剤の有無によるmRNA量に変化が無くても、翻訳状況が異なる複数のmRNAを数多く見出すことができた。
2: おおむね順調に進展している
ポリアミンによる翻訳制御を受けることが予想されたCCTサブユニット、KLF4のレポーター遺伝子を用いた評価に成功し、研究は順調に推移している。一方で、次世代シーケンシングによる網羅解析から、翻訳制御を受ける複数の候補を見出してはいるが、詳細な解析には至っていない。
CCTサブユニットで解析が済んでいない残り2つの解析を進めること。KLF4の翻訳制御についてはuORFが関与する可能性が出てきたので、更に詳細な解析を進める。また、網羅解析により候補となっている遺伝子については、ポリアミン減少と相関した蛋白質量の低下を明らかにし、その分子メカニズムも明らかにしていきたい。
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Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 33549
10.1038/srep33549.
ポリアミン
巻: 3 ページ: 2-7
http://www.p.chiba-u.jp/lab/bunseki/index.html