研究課題/領域番号 |
15K07923
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
今村 亮俊 千葉大学, 大学院薬学研究院, 日本学術振興会特別研究員(PD) (60741923)
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研究分担者 |
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 長鎖非コードRNA / 細菌感染 / 核内RNA分解 |
研究実績の概要 |
近年、ヒトやマウスの大規模なゲノム解析が進み、タンパク質をコードしないnon-coding RNA (ncRNA)の存在が明らかとなった。この中でも核内に存在する200塩基以上の長さをもつ核内long-ncRNA(lncRNA, 長鎖非コードRNA)が、がんなどの疾患に関与すること、遺伝子発現制御に直接関与していることなどが明らかとなりつつある。申請者は以前ウイルス感染に応答する長鎖非コードRNAを発見し、その遺伝子発現制御機構を解析した。本研究では、細菌感染症における核内lncRNAの役割については一切解明されていなかったため、細菌感染によって応答する長鎖非コードRNAを解析することを目的とした。 また、核内lncRNA分解に関与する因子として、核内エキソソームが知られている。核内エキソソームは真核生物において主要な3' - 5'エキソヌクレアーゼ活性を担い、RNA 代謝の様々な局面において中心的な役割を担っている。ターゲットRNAの認識には、核内エキソソームと結合するアクセサリー複合体が必要である。これまでに、核内エキソソームのターゲットRNAの認識に関与するアクセサリー複合体は、NEXT及びPAXT複合体が知られているだけであった。 申請者は、前年度で新たなアクセサリー複合体を発見した。また、細菌感染によって、アクセサリー因子とエキソソーム因子の一部が消失することを見出した。さらに、長鎖非コードRNAのKO細胞を作出した。申請者は今年度、このKO細胞について細菌感染時のマイクロアレイを行い、下流の遺伝子発現の解析を行った。また、新規アクセサリー複合体のターゲットRNAを見つけるためにRNA-seqを行った。さらに細菌感染によるアクセサリー因子とエキソソーム因子の一部の消失についてプロテアーゼの同定を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者が発見した新規核内エキソソームアクセサリー複合体のターゲットRNAを見出すことが出来た。また、長鎖非コードRNAのKO細胞において、細菌感染で死にやすくなるメカニズムを知る目的でマイクロアレイを行い、遺伝子発現の変動する下流の遺伝子を見出した。 現在、細菌感染によるアクセサリー因子とエキソソーム因子の一部の消失についてプロテアーゼの同定を行うために、阻害剤の実験やin vitroアッセイ系を作出し行ったが、成果は得られなかった。 ターゲットタンパク質の抗体を6種作出したが、どの断片で切断されてるのかはわからなかった。
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今後の研究の推進方策 |
細菌感染によって引き起こされる核内エキソソームアクセサリー複合体の因子の消失に関与するプロテアーゼ同定のために、siRNAスクリーニングによる網羅的解析、質量分析を用いたターゲットタンパク質に結合するプロテアーゼの同定を行う予定である。 さらに、様々な細菌感染時にどのような長鎖非コードRNAの変化が起こるか、核内RNA分解の制御機構について検討行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度において、プロテアーゼ同定のためにsiRNAスクリーニングを行う予定である。プロテアーゼは600種類あり、合計1,800サンプルをウエスタンブロットで確認する必要がある。もしくは、現在そのかわりになりうる、GFP融合タンパク質による顕微鏡観察のシステムも構築中であるが、siRNAスクリーニングをするのにコストがかかるため。
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次年度使用額の使用計画 |
96ウェルを用いてsiRNAスクリーニングを行い約20枚のノックダウンと60枚のウエスタンブロットを行う予定である。
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