研究課題
本年度は、本研究の目的である三量体Gタンパク質シグナル依存的な活性制御を受けるRho活性化因子であるPLEKHG2/FLJ00018の構造生物学的な解析によるその制御機構の解明を目指す視点から、最近見出したGαsサブユニットによる活性抑制機構について、さらに詳細な検討を行った。その結果、Gαsサブユニットが、PLEKHG2のRho活性化に直接関わるDbl homology (DH)ドメインおよび細胞膜との相互作用に関係するPlekstrin homology (PH) ドメインを含む領域と結合することにより、PLEKHG2の活性を制御することを、培養細胞レベルおよび試験管レベルで明らかすることができた。また、培養細胞レベルで、Gαs共役型受容体刺激により、Rho活性化の指標のひとつであるPLEKHG2依存的なserum response element依存的な遺伝子転写活性が、抑制されることも明らかにでき、GαsサブユニットによるPLEKHG2の活性抑制が、生理的な条件でも起こっている可能性を示唆することができた。また、PLEKHG2と結合することで活性化をさせることをすでに報告している細胞内アダプター分子のひとつであるFHL1との相互作用部位との比較では、FHL1とGαsサブユニットはともに、PLEKHG2のDHドメインおよびPHドメインを含むN末端近傍領域に結合するが、その位置が異なっていることから、この結合位置の違いが、PEKHG2に対する活性化および抑制の違いを引き起こしている可能性が考えられた。以上の結果も踏まえ、さらに検討を進めていきたいと考えた。
3: やや遅れている
当初の計画において、大腸菌や蚕などのタンパク質発現系において、PLEKHG2等のタンパク質の調製を行い、それらを用いもう少し詳細な検討を加えることとになっていたが、蚕の発現系での調製がまだ検討段階である。このため、上記のような区分であると判断した。
当初の研究計画にも記載の通り、2年目は、初年度において遅れている部分を補うことを挙げていた通り、蚕のタンパク質発現系などをしっかり利用できるように計画を推進する。さらに、他の三量体Gタンパク質シグナル依存性のRho活性化因子などとの構造的相違の比較を通して、より深い理解を得ようと考えている。
本年度中に研究内容について、その内容をまとめ海外学会誌に投稿し、掲載されることを目標としていたが、期間中に間に合わず、雑誌投稿料および掲載料、さらに、掲載のための追加実験のための研究費として、今回の金額が生じてしまった。
上記のとおり、次年度中に論文投稿を行う予定であり、今回の繰り越された金額を使用する予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)
Oncotarget
巻: 0000 ページ: 0000-0000
10.18632/oncotarget.8005.
Biochem Biophys Res Commun.
10.1016/j.bbrc.2016.03.074.
J Mol Evol
巻: 80 ページ: 130-141
10.1007/s00239-015-9666-z
巻: 6 ページ: 25828-25842
10.18632/oncotarget.4558.