研究課題/領域番号 |
15K07928
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | TC21 / R-Ras / M-Ras / afadin / spine / G-protein / neuron |
研究実績の概要 |
神経突起形成に重要な役割を果たしている低分子量G蛋白質RasファミリーのサブグループであるR-Rasサブファミリー、R-Ras、M-Ras、TC21の情報伝達機構を分子レベルで明らかにするため、R-Rasサブファミリーの下流のエフェクター分子の探索とその作用機構について研究を進めた。これまでに、R-Rasは神経軸索に局在し、PI3キナーゼ経路を介して軸索の伸長、分枝化を促進すること、M-Rasは樹状突起に局在し、MAPキナーゼ経路を介して軸索の伸長を促進することを明らかにしてきた。一方、TC21に関しては、その神経細胞における機能はほとんど不明であった。その神経細胞の形態形成における機能を解析し、TC21がスパイン形成時に強く発現して着ることを発見した。また、TC21の強制発現や、ノックダウン実験により、TC21がスパイン形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。さらに、TC21によるスパイン形成促進作用における、下流のエフェクター分子を解析した結果、Fアクチン結合蛋白質であるafadinにTC21活性型が特異的に結合し、TC21は活性化されると、afadinを細胞質から細胞膜に移行させ、細胞膜嬢でフィロポディア形成を促進し、最終的にスパイン形成を促進することがわかった。これらのことから、3つのR-RasサブファミリーG蛋白質、R-Ras、M-Ras、TC21はそれぞれ軸索、樹状突起、スパインと異なる領域に局在し、異なる神経突起形成に関わることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、神経細胞のスパイン形成に重要な役割を果たしているTC21のエフェクターの同定と、作用機構について、全体像がつかめるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、計画通り進め、次年度以降で、R-Rasサブファミリーを含めた低分子量G蛋白質の情報伝達機構の複雑な連携システムの解明を進めていく。
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