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2016 年度 実施状況報告書

失われた抗菌活性を復活させる抗菌活性増強薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K07932
研究機関広島大学

研究代表者

黒田 照夫  広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (80304327)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードバンコマイシン / VRE / ペプチドグリカン
研究実績の概要

Compound Kとバンコマイシン耐性の併用メカニズムを詳細に明らかにするために以下の研究を進めた。
昨年度の解析結果から、バンコマイシン耐性遺伝子群の発現量は減少していなかったことが分かった。そこで細胞壁に存在しバンコマイシンが結合する標的であるDAla-DAlaの量を、DAla-DAlaに結合できる蛍光標識したバンコマイシンを用いて蛍光顕微鏡で観察した。当研究室で用いているバンコマイシン耐性腸球菌はバンコマイシンを培地中に添加すると発現誘導が起こる。その結果DAla-DAlaが減少し、蛍光標識したバンコマイシンが結合できなくなり、蛍光強度は減少した。一方、バンコマイシンに加えCompound Kを添加した場合においては、バンコマイシンが存在していても蛍光強度は消失しなかった。このことは、Compound KによりDAla-DAlaの存在量が回復していることを意味する。以上のことから、Compound KはDAla-DAlaをDAla-DLacに変換するいずれかの過程の酵素活性を阻害することが強く示唆された。これまでバンコマイシン耐性に関わる酵素に対する創薬は一部論文が報告されているが、その阻害効果は微弱であり、Compound Kの効果はそれをはるかに上回るものである。
この結果を受けて、さらに標的を絞ることにした。バンコマイシン耐性に関与するVanA遺伝子群に含まれるいくつかの酵素遺伝子を大量発現プラスミドにクローニングした。現在これら酵素の精製を行うとともに、アッセイ系の構築を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究代表者の異動に伴い、今年度は行うことができる実験が限られていた。しかし必要最低限の研究は進んだと考えている。特に大量発現プラスミドの構築が終了していることは大きい。一方で、Compound Kの残量が少なくなってきたため、完全になくなる前に再度生薬からの単離を進めている。生薬のロットが変わると、含有量が変わることが予想されるため、慎重に作業を進めている。
また国際学会での発表も受理され、2017年7月に行う予定である。

今後の研究の推進方策

まずはバンコマイシン耐性遺伝子群の産物であり、DAla-DAlaからDAla-DLacへの変換に関与する複数の酵素の精製を進める。現在、発現条件の検討を行っているところである。また評価系の構築も急ぐ。28年度よりも研究環境は改善されていることから、十分に標的の特定まではできると考えている。

次年度使用額が生じた理由

学内での共同機器を使用するために残しておいた分のうち、少額が残った。

次年度使用額の使用計画

少額であるため、29年度配分額と合わせ、通常通りに執行する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 新規抗菌薬のシーズ発掘と標的探索2017

    • 著者名/発表者名
      黒田照夫、小川和加野
    • 雑誌名

      薬学雑誌

      巻: 137 ページ: 383-388

    • DOI

      http://doi.org/10.1248/yakushi.16-00235-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 耐性菌に効く薬を創るということ2016

    • 著者名/発表者名
      黒田照夫
    • 学会等名
      第28回微生物シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2016-09-02 – 2016-09-03
    • 招待講演
  • [備考] 広島大学薬学部微生物医薬品開発学

    • URL

      https://www.hiroshima-u.ac.jp/pharm/research/lab/Microbiology

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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