研究課題
本研究は、2つの糖転移ドメインを有する糖転移酵素LARGEの糖鎖伸長機構の解明を目指すものである。LARGEの構造解析を行うため、本年度はLARGEの大量発現系の構築を試みた。カイコを利用した大量発現系の場合、大部分のタンパク質が不溶性分画に発現してしまい、構造解析に十分量のタンパク質を得ることができなかった。しかしながら、哺乳細胞を用いた浮遊培養や高密度培養を試みた結果、細胞1L培養あたり5㎎タンパク質を精製することに成功した。さらには、LARGRのアクセプター基質を調製するために、4-Methylumbelliferyl-β-D-xylopyranoside対して、酵素反応を行い、重合度の異なる糖鎖(3糖、4糖)を調製することにも成功した。以上のように、リコンビナントタンパク質と基質の安定的な調製法を確立したことで、次年度以降に、LARGEの基質認識を対象とした構造解析を行うための基盤を整えることができた。
2: おおむね順調に進展している
本研究を通じて、予定どおりLARGEの大量発現系の構築成功し、重合度の異なる基質を調製することに成功した。以上、総合的に判断して概ね順調に研究は進展している。
大量調製に成功したリコンビナントLARGEを利用して、非変性質量分析、X結晶構造解析、溶液散乱などの物理化学的手法を行うことで、LARGEによる糖鎖の伸長機構の構造基盤を明らかにすることを目指す。また原子間力顕微鏡を利用して、糖鎖の伸長過程をライブイメージで捉えることも試みる。そのためのモデル系として、LARGEと同じドメイン構成を有する大腸菌由来のバイファンクショナルな糖転移酵素K4CPを用いた条件検討も合わせて行う予定である。
年度末に実験遂行のために必要な試薬があったため、次年度に使用額が生じた。
次年度使用額としての11,703円は年度末の試薬代として使用した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件) 図書 (1件)
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