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2017 年度 実績報告書

プロトンポンプによるイオン環境の形成とオルガネラ輸送の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 15K07939
研究機関岩手医科大学

研究代表者

中西 真弓  岩手医科大学, 薬学部, 教授 (20270506)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードプロトンポンプ / 分泌リソソーム / オルガネラ輸送 / Rab7 / Rab27
研究実績の概要

本研究は、破骨細胞の分泌リソソームにおけるプロトンポンプV-ATPaseの役割の解明を目的としている。これまでの研究から、V-ATPaseのa3イソフォームが、リソソーム輸送を制御するRab7をリソソームにリクルートすると考えている。
今年度は、分泌リソソームに関わるRabタンパク質を同定する目的で、破骨細胞にGDT型(ドミナント・ネガティブ)Rab7, Rab27A, Rab11Bをそれぞれ発現させたところ、GDT型Rab7でのみリソソームの外向きの輸送が抑制された。Rab7が分泌リソソームの輸送に関与することがわかった。Rab27は、分泌リソソームが形質膜と融合する過程に関わることが報告されているが、リソソームの移動には関与しないと考えられる。
これらのRabタンパク質とa3の結合を詳しく解析したところ、a3は不活性型のRab7やRab27Aと結合するが、活性型とは結合しなかった。また、リサイクリング・エンドソームの移動に関わるRab11Bとはほとんど結合しなかった。すなわち、a3はRab7やRab27の不活性型と特異的に結合する。興味深いことに、a3を欠損した破骨細胞では、Rab7やRab27Aは、活性型でさえリソソームに局在しなかった。以上の結果は、Rab7やRab27の不活性型がa3と結合することによりリソソームにリクルートされ、活性化された後、a3依存的にリソソームに安定に局在することを示唆している。
大理石病患者のa3遺伝子に変異が入っていることが報告されている。発症機構を解明するために、a3欠損破骨細胞に変異a3を導入したところ、検討した2種類の変異ではa3は発現しなかった。変異a3は、安定発現できないために破骨細胞の機能不全を引き起したと考えられる。
本研究は、V-ATPaseが関わる分泌リソソームの輸送機構の一端を明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Essential Role of the a3 Isoform of V-ATPase in Secretory Lysosome Trafficking via Rab7 Recruitment2018

    • 著者名/発表者名
      Naomi Matsumoto, Mizuki Sekiya, Koujiro Tohyama, Eri Ishiyama-Matsuura, Ge-Hong Sun-Wada, Yoh Wada, Masamitsu Futai, Mayumi Nakanishi-Matsui
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 8 ページ: 6701

    • DOI

      10.1038/s41598- 018-24918-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Porphyromonas gingivalis is highly sensitive to inhibitors of a proton-pumping ATPase.2018

    • 著者名/発表者名
      M.Sekiya,Y. Shimoyama,T. Ishikawa, M. Sasaki, M. Futai, M. Nakanishi-Matsui
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 498 ページ: 837-841

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2018.03.066.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 破骨細胞への分化に伴う液胞型ATPaseの発現誘導と活性2018

    • 著者名/発表者名
      後藤奈緒美、中西真弓
    • 雑誌名

      岩手医科雑誌

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] 破骨細胞における分泌リソソームの局在に対するV-ATPase阻害剤(バフィロマイシンA1)の影響2018

    • 著者名/発表者名
      松元奈緒美、關谷瑞樹、中西(松井)真弓
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] プロトン輸送ATPase阻害剤は虫歯菌Streptococcus mutansの耐酸性を低下させる2018

    • 著者名/発表者名
      關谷瑞樹、泉澤信太郎、櫛桁安生、芳賀雅人、下山佑、佐々木実、木村重信、佐々木由香、岩本昌子、中西(松井)真弓
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] Streptococcus mutansの耐酸性におけるF-ATPaseの重要性2017

    • 著者名/発表者名
      關谷瑞樹、泉澤信太郎、櫛桁安生、芳賀雅人、下山佑、佐々木実、木村重信、佐々木由香、岩本昌子、中西(松井)真弓
    • 学会等名
      ConBio2017
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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