研究課題/領域番号 |
15K07940
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
柏田 正樹 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20270639)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 時計遺伝子 / 概日リズム / 樹状細胞 / アレルギー性疾患 |
研究実績の概要 |
アレルギー性疾患はその発症や症状の憎悪に時間特異性があることが経験的に知られているが、なぜこのような概日リズムがあるのかは不明である。これまで時計遺伝子の一つNFIL3のノックアウト(KO)マウスを用いた解析から、NFIL3がTh2やTh17タイプの炎症反応の制御に関わっていることを明らかにしてきた。本研究では、アレルギー性疾患、特に炎症性皮膚炎に注目し、時計遺伝子NFIL3がその病態制御にどのように関わっているのか明らかにすることを目的としている。アレルギーの発症には、抗原による感作と、感作後の炎症誘導の過程が必須で、樹状細胞が中心的役割をもつ。従って本年度は、皮膚の樹状細胞分化におけるNFIL3の機能解析を行った。NFIL3 KOでは、脾臓やリンパ節の常在型樹状細胞であるCD8alpha+ 樹状細胞が欠損しており、またCD8alpha+樹状細胞と発生学的に近いCD103+樹状細胞が皮膚所属リンパ節において欠損していることを観察した。in vitroにおける分化誘導系を確立するために、骨髄細胞をFlt3LとGM-CSFの存在下、既報の方法を参考に試みた。その結果、培養後のCD103+Clec9A+の細胞の割合が極めて低く(20~40%程度)、その後の解析に供する細胞が得られなかった。既報の方法ではFlt3Lを大量に使用するため、Flt3LとGM-CSF cDNAをレンチウイルスベクターに組み込み、組換えウイルスをB16に感染させ、共発現するGFP+細胞をソーティングしてB16-Flt3L、B16-Csf2細胞を樹立した。その細胞をマウスに皮下投与することにより、脾臓及びリンパ節においてCD8alpha+樹状細胞、顆粒球の誘導をFACSで確認した。今後この細胞よりConditioned mediumを作成し、高効率のin vitroの文化系を確立する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
皮膚樹状細胞、及び皮膚所属リンパ節リンパ節に存在するCD103+樹状細胞は数が少ないため、in vitroの系における機能解析や移植実験に用いる為には、高効率なin vitroの分化培養系が必要である。またin vivoにおける分化誘導系が必須となる。そのためメラノーマ細胞株B16を用いてFlt3LとGM-CSFの産生細胞を樹立が必要となった。年度内に安定細胞株は樹立できたので、今後これを用いて、in vivo及びin vitroの実験系に用いる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き皮膚樹状細胞分化におけるNFIL3の機能解析を行う。特にin vitroの系において、抗原提示能やサイトカイン産生能の測定等を行う。またin vivoの解析では、蛋白抗原としてOVAを用いた感作を行い、アレルギー誘導におけるNFIL3の役割を明らかにする。またハプテンについても同様に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度購入予定であった密閉式超音波細胞破砕装置(Bioruptor)が、自治医科大学共有機器として導入されたため、その一部費用をフリーザー購入に充てたため、次年度使用予定金額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には、実験計画としてトランスクリプトーム解析があるため、その費用に充てる。
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