ある種の学習は、生後の限られた臨界期又は感受性期と呼ばれる時期にしか習得できない。刷り込み学習はその典型例である。臨界期が閉じたヒナに、T3を注射すると、再び臨界期が開く。 本研究では、T3が学習臨界期を開く分子機構の解明を試みた。その結果、臨界期を過ぎたニワトリヒナ大脳では、T3静脈注射によりIMHA領域でWnt-2b mRNAが上昇した。そこで、薬理学的にIMHA領域でWntシグナル伝達を阻害したところ、T3による感受性期の回復が阻害された。この結果は、Wntシグナル伝達がT3の下流で感受性期間の開始に重要な役割を果たすことを示している。
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