研究課題
(1) 再構成系でのEBI3によるIL-23R蛋白質の品質管理HEK293T細胞にIL-23RやIL-12Rβ1、EBI3、IL-23反応性の(GAS)3-Luciferaseを強制発現させ、EBI3存在下・非存在下でIL-23R発現、ルシフェラーゼ活性やSTAT3のリン酸化を測定した。その結果、EBI3は発現量依存的に、IL-23R発現を増しルシフェラーゼ活性やSTAT3のリン酸化などのシグナルを増強すること、この時、免疫沈降反応より、EBI3とIL-23Rの会合が見られることがわかった。(2) EBI3による蛋白質の品質管理の特異性とその作用機序蛋白質の品質管理に関わる分子として分子シャペロンの一つカルネキシンが重要である。そこで、カルネキシンとEBI3およびIL-23Rの会合を免疫沈降反応および糖合成阻害剤を用いた検討より、EBI3はカルネキシンおよびIL-23Rに結合すること、この時、糖鎖ではなくペプチドを介して結合することがわかった。さらに、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集によりカルネキシン発現を消失させると、EBI3のIL-23R発現増強効果が見られなくなることも見出した。(3) MHCクラスIの抗原提示能への効果EBI3欠損マウス由来DCを抗原提示細胞としてOVA特異的CD8+T細胞受容体のOT-I Tgマウス由来のCD8+T細胞を刺激し、細胞増殖を3H-チミジンの取り込み調べると、EBI3欠損マウス由来DCでは、増殖誘導が減少し、抗原提示能力が低下していることがわかった。さらに、HEK293T細胞を用いた再構成系で、EBI3がMHCクラスIに会合することがわかった。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り概ね進んでいる。最後の1年で、論文に纏めるのと、さらにこの現象の一般性を高める検討を行いたい。
(1) Truncated EBI3生成の意義その作用機序我々はEBI3が短くなったTruncated EBI3が生成されることを見出している。EBI3のアミノ酸配列を調べるとマウスとヒトで保存されたCapase-8の認識配列であるAsp-X-X-Asp配列がカルボシル基末端側の約3kDaの断片が切り出される可能性を見出した(未発表)。そこで、そのAsp残基をAla残基に置換した変異体を作製し、HEK293Tに遺伝子導入しIL-23刺激やMG132処理の有無でTruncated EBI3ができるか調べ、その意義や作用機序を調べる。(2) EBI3とIL-23R蛋白質発現の相関性とその意義IL-23Rの遺伝子多型が炎症性腸疾患発症と相関する報告が複数ある。その中で、最近、G149R、V362I、R381Qの変異が、いずれもIL-23Rの蛋白質レベルでの発現低下を誘導することが報告された(Sivanesan et al. JBC 2016)。この内、G149Rは細胞外領域で有り、残りの二つは細胞膜および細胞内領域であるため、G149RがEBI3の会合部位である可能性が考えられ、この可能性についてG149R変異体を作製し、検討する。この結果より、EBI3の結合とヒトでの腸炎発症との相関性が明らかになるであろう。(3) EBI3が結合する他の分子の探索我々は、EBI3が特に炎症時に、細胞分泌蛋白質および細胞膜蛋白質の発現増強と安定化に重要な役割を担っていることを、さらに一般化するため、活性化したT細胞やDCの細胞上清および細胞溶解液を抗EBI3抗体で免疫沈降し、電気泳動、銀染色、スポットの切り出し、質量分析解析を行い、EBI3に結合する分子を網羅的に解析する。
使用額をぴったりに合わすのが難しいため、少し残額が出てしまった。
消耗品に使用する予定。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件)
Front. Immunol.
巻: 7 (479) ページ: -
10.3389/fimmu.2016.00479
Cancer Sci.
巻: 107 (9) ページ: 1206-1214
10.1111/cas.13005
PLoS Pathog.
巻: 12 (3) ページ: -
10.1371/journal.ppat.1005507.