老化に伴うアポトーシス細胞に対するマクロファージ貪食能の低下がマクロファージ自体の細胞老化に忌諱するのか、または老化に伴う個体環境の変化(個体老化)に起因するのか調べるため、老化マクロファージの若年マウスへの移植実験を行った。本実験では、レシピエントとして腹腔マクロファージを枯渇処理した若年マウスを、ドナーとして骨髄細胞から誘導した長期培養マクロファージを用いた。 マクロファージの枯渇は、リポソーム化したクロドロネート(細胞毒)を用い、これをマクロファージが選択的に取り込むことによってアポトーシスに陥らせることによって行った。 まず用いた長期培養マクロファージが老化マクロファージとして用いて問題ないかを確認するため、老化マーカーであるbeta-SA-galactosidaseの発現とがん抑制遺伝子であるp53の活性化を検証した。その結果、培養三ヶ月で両マーカーとも検出され、三ヶ月培養マクロファージが老化マクロファージに匹敵することを確認できた。 得られたマクロファージを後期アポトーシス細胞とともにレシピエントマウスに移植し、経時的に炎症応答を調べたところ、コントロールとして行った若年マクロファージを移植したときと比べて、有意に炎症応答の増強および炎症応答の終息遅延がみられた。これらの結果から、老化に伴うマクロファージの貪食能の低下は、マクロファージ自体が細胞老化することに原因があると推察された。
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