• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

血液前駆細胞・心筋前駆細胞を分離可能なマーカー膜蛋白質の同定とその発現解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K07961
研究機関国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所

研究代表者

川端 健二  国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 幹細胞制御プロジェクト, プロジェクトリーダー (50356234)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード中胚葉 / 分化 / 心筋細胞 / 血液細胞
研究実績の概要

血液細胞や心筋細胞は、発生学的には側板中胚葉由来の細胞である。側板中胚葉のマーカーはVEGF受容体Flk1であり、実際に胚性幹(ES)細胞を用いたin vitro分化誘導実験やin vivoトレース実験において、Flk1発現(+)細胞が血液細胞や心筋細胞へ分化することが証明されている。一方、最近の研究からFlk1+ 細胞は血液前駆細胞や心筋前駆細胞等の分化能の異なる細胞種が混在したヘテロな細胞集団であると考えられているため、新たなマーカー蛋白質を加えて Flk1+ 細胞をさらに細かく区別することが望ましい。Coxsackievirus and adenovirus receptor(CAR)はアデノウイルス(Ad)の受容体として同定され、その後の研究から、タイトジャンクション構成蛋白質として機能していることが報告された膜蛋白質である。ヒト ES/iPS細胞由来 Flk1+ 細胞において CAR の発現を解析したところ、Flk1+ 細胞中には CAR+ 細胞と CAR- 細胞の両細胞が存在していること、そしてこれらの両細胞は造血系および心筋系の転写因子の発現パターンが大きく異なっていることを見出した。また、Flk1+ かつ CAR+ 細胞(F+CAR+細胞)およびFlk1+ かつ CAR- 細胞(F+CAR-細胞)の分化能を評価したところ、F+CAR+細胞は心筋細胞への分化指向性を有し、F+CAR-細胞は血液・血管内皮細胞への分化指向性を有することが明らかとなり、CAR は Flk1 陽性中胚葉細胞をさらに細かく分別可能なマーカーとなり得ることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の ES/iPS 細胞を用いた分化研究から、当初の一番の目的であった「CARが血液前駆細胞と心筋前駆細胞の分離マーカーとなる膜蛋白質である」ことが強く示唆されたので順調に進展しているといえる。今後は in vivo(マウス生体)においても同様のことがいえるかどうか確認していく予定である。

今後の研究の推進方策

Flk1 陽性細胞の中に CAR 陽性細胞と CAR 陰性細胞が存在することが示された。次に、in vivo(マウス生体)においても同様のことがいえるかどうか確認していく予定である。また、マウスおよびヒト Flk1+ 細胞中の前駆細胞を分離可能な膜蛋白質として PDGFRa(Pa)が報告され、Pa+ 細胞は心筋細胞へ、Pa 非発現(-)細胞は血液細胞へ分化することがES細胞やiPS細胞を用いた実験系により実証されている。今後は Flk1 陽性細胞中の Pa の発現と CAR の発現細胞について解析していきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Expression of coxsackievirus and adenovirus receptor separates hematopoietic and cardiac progenitor cells in fetal liver kinase 1-expressing mesoderm.2015

    • 著者名/発表者名
      Tashiro K, Hirata N, Okada A, Yamaguchi T, Takayama K, Mizuguchi H, Kawabata K.
    • 雑誌名

      Stem Cells Transl. Med.

      巻: 4 ページ: 424-436

    • DOI

      10.5966/sctm.2014-0173

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 中胚葉分化誘導法の開発と標準化2016

    • 著者名/発表者名
      川端健二
    • 学会等名
      日本組織培養学会第89回大会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-05-25 – 2016-05-26
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒトiPS細胞からマスト細胞への分化誘導と特性解析2016

    • 著者名/発表者名
      山口朋子、西島美妙江、川端健二
    • 学会等名
      第15回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-03-17 – 2016-03-19
  • [学会発表] Characterization of connective tissue-type mast cells derived from human iPS cells2015

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Yamaguchi, Kenji Kawabata
    • 学会等名
      第44回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2015-11-18 – 2015-11-20
  • [学会発表] Differentiation of human iPS cell-derived hematopoietic progenitor cells into mast cells.2015

    • 著者名/発表者名
      2.Tomoko Yamaguchi, Reiko Hirabayashi, Katsuhisa Tashiro, Atsumasa Okada, Hiroyuki Mizuguchi, Kenji Kawabata
    • 学会等名
      International Society for Stem Cell Research 13th Annual Meeting
    • 発表場所
      ストックホルム
    • 年月日
      2015-06-24 – 2015-06-27
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi