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2016 年度 実施状況報告書

口腔感覚が脳機能を調節する神経機構および分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K07962
研究機関旭川医科大学

研究代表者

柏柳 誠  旭川医科大学, 医学部, 教授 (20169436)

研究分担者 笹島 仁  旭川医科大学, 医学部, 助教 (00374562)
野口 智弘  旭川医科大学, 医学部, 講師 (10466500)
宮園 貞治  旭川医科大学, 医学部, 助教 (50618379)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード粉末飼料摂餌 / GABA / 嗅球 / 僧帽細胞 / 抑制性後シナプス電流
研究実績の概要

成体の齧歯類の脳室下層では、神経新生が活発に行われている。脳室下層で新生した神経細胞は嗅球まで移動して介在神経として匂い情報処理を行っている。我々は、マウスを粉末飼料で飼育すると、固形飼料で飼育したときと比べて嗅球および梨状皮質における匂い応答および脳室下層における神経新生が低下することを見いだした。本年度は、当初、平成27年度で計画した粉末飼料で飼育したマウスの嗅球神経細胞の性質の解析を行った。
固形飼料で飼育したマウスの嗅球からスライスを作成すると、パッチクランプ法により僧帽細胞から電位固定下で自発性の抑制性後シナプス電流が測定された。この抑制性後シナプス電流はGABA受容体の拮抗薬であるbicucullinにより阻害されたために、介在神経から放出されるGABAに由来する後シナプス電流であることが示された。一方、粉末飼料で飼育したマウスのスライスでは、抑制性後シナプス電流の頻度と強度が減少した。また、粉末飼料飼育のマウスで測定された抑制性後シナプス電流の時間経過は、固形飼料飼育のマウスのものと同様だった。この結果は、GABAA受容体で知られているfastとslowの両者の電流が減弱していることを示した。以上の結果は、粉末飼料で飼育したマウスの脳室下層の神経新生の低下に伴う新生細胞の嗅球への移動の減少が、介在神経からのGABA放出の変化を引き起こし、嗅球の出力細胞の僧帽細胞の活動に影響を与えることを示した。これらの結果は、Arch. Oral Biol.に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の研究計画では、固形飼料の摂餌で増加するFos陽性細胞を免疫二重染色により特定することを予定した。しかしながら、電気生理学的実験および論文執筆に時間を要し、二重染色まで至らなかった。また、脚橋柀蓋核、黒質緻密部や脳室に薬物を投与して、固形飼料と粉末飼料の摂餌の脳室下層における神経新生に対する影響を調べる実験を行う予定だった。現在、脳定位装置の設置準備を続けている。
本年度では、粉末飼料で飼育したマウスの嗅球内神経回路の性質を電気生理学的に解析する研究が進展した。固形飼料で飼育したマウスの嗅球また、スライス中の僧帽細胞では、脳室下層由来の介在神経から放出されるGABAに由来する抑制性の後シナプス電流が測定できる。粉末飼料で飼育したマウスのスライスでは、抑制性後シナプス電流の頻度と強度が減少した。この結果は、粉末飼料で飼育したマウスの脳室下層の神経新生の低下に伴う新生細胞の嗅球への移動の減少が、嗅球の出力細胞の僧帽細胞の活動に影響を与えることを直接示した。これらの結果をArch. Oral Biol.に投稿するために解析と論文執筆に時間を要した。

今後の研究の推進方策

電気生理学的実験では、成果が得られたが、固形飼料の摂餌で増加するFos陽性細胞を免疫二重染色により特定する研究は進展していない。また、EGFおよびそのアゴニストとして働くTGFβ、HB-EGF、amphiregulin、betacellulin、epiregulin、epigenなどを粉末飼料で飼育したマウスに鼻腔より投与し、神経新生および嗅覚機能におよぼす影響を明らかにする研究も進展していない。そこで、これらの実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画では、固形飼料の摂餌で増加するFos陽性細胞を免疫二重染色により特定することを予定した。しかしながら、電気生理学的実験および論文執筆に時間を要し、二重染色まで至らなかった。また、脳定位装置を用いた薬物の局所投与まで研究が進まなかったために、予定したマウスの使用数が少なかった。

次年度使用額の使用計画

平成27年度および平成28年度に遂行できなかった実験を随時実施する。

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公開日: 2018-01-16  

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