研究課題/領域番号 |
15K07971
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
坂本 謙司 北里大学, 薬学部, 准教授 (80317065)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 薬理学 / 脳神経疾患 |
研究実績の概要 |
Pde6aに変異を有する網膜色素変性症モデルマウスであるC57BL/6J-PDE6anmf363/nmf363や,硝子体内にNMDAを投与したマウスにおいて認められる網膜神経細胞死とmicroRNAの発現変動との関係を明らかにするために,これらのマウスの網膜に発現しているいくつかのmicroRNAの量をSYBR Green I法による定量的PCRにより解析し,正常動物における発現量と比較した.その結果,両モデルにおいて,いくつかの種類のmicroRNAの発現の変動を確認することができた.また,NMDA硝子体内投与により発現が減少したmicroRNAのagomirや,発現が増加したmicroRNAのantagomirを,NMDA投与前にあらかじめ硝子体内投与しておくと,NMDA誘発網膜神経傷害が減弱することが明らかとなった.さらに,生後15日のC57BL/6J-PDE6anmf363/nmf363において発現が減少していたmicroRNAのagomirを生後15日齢のC57BL/6J-PDE6anmf363/nmf363に投与すると,生後20および25日齢における視細胞死の程度が減弱することが示された.以上の結果から,NMDA誘発網膜神経傷害やPde6aの変異が原因の網膜色素変性症の発症や進行にはmicroRNAの発現変動が関与している可能性が考えられた.加えて,減少したmiRNAの補充や増加したmiRNAの機能的抑制は,視神経保護のための新たなストラテジーとなり得ることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の計画に記したように,SYBR Green I法による定量的PCRを行うことにより,視神経疾患モデル動物の網膜において,発現が変動しているmicroRNAを数種類同定することができた.また,発現が変動していたmicroRNAのagomirやantagomirを導入することにより,網膜神経細胞を保護できることを明らかにできた.
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今後の研究の推進方策 |
視神経疾患モデル動物において発現が変化していた microRNA の機能から,網膜変性疾患発症の鍵となるタンパク質を推測・実証することを試みる.前年度の成果を元に,網膜変性疾患において発現量が変化する可能性のある遺伝子の候補をリストアップし,実際に発現変動が起きている遺伝子を同定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
商品在庫や輸入手配の都合で,年度末までに納入が不可能な試薬や消耗品があり,それらを次年度に購入することにしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画遂行に必要な試薬並びに消耗品を購入する.
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