研究課題
骨組織では、Runx2の下流にIhhシグナルが機能することがわかっていたが、皮膚組織におけるRunxとヘッジホッグシグナルの連携についてわかっていなかった。組織解析・F-IHC解析から、直接的な制御ではないが、空間的にRunx2,3陽性細胞がRunx2,3陰性細胞に対してShhを誘導していることが強く示唆された。Runxファミリー標的遺伝子機能について調べるために、shRNAを作成、パッチ法により移植毛形成を評価した。対象となる細胞ポピュレーションは、毛乳頭細胞、皮膚上皮細胞で、それぞれ遺伝子改変後、移植試験を行った。その結果、生体レベルでTnfrsf19がRunxの下流に位置し、初期毛包形成や毛穴形成に重要な働きがあることを証明できた。再現性について検討中である。また、メカニズムを調べるために、Runxファミリー標的遺伝子をCRISPR/Cas9システムによりノックアウト細胞を樹立した。樹立した細胞の遺伝子発現パターンをshRNA導入細胞とマイクロアレイ法により比較すると、ほぼ同一のシグナル分子が著しく阻害されていた。これについて、発現パターンを調べ、毛包形成初期の分子シグナルについて明快なエビデンスを提供できると考えている。加えて、これを制御する化合物についても同定を試みており、実用性を見据えた研究展開ができた。
2: おおむね順調に進展している
2年目の研究計画がほぼ達成できたため。
一部異所的発現があるものの、大まかなin vivoでワークするTnfrsf19プロモーター領域を見出すことに成功した。このプロモーターを使って、上流因子であるRunxのdominant-negative体、およびCbfb shRNAを導入して、表現型から毛包形成分子シグナルを明らかにする。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 132 ページ: 55-64
10.1016/j.jphs.2016.08.004