研究課題/領域番号 |
15K07989
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
水野 誠 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 主任研究員 (20345515)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会性行動 |
研究実績の概要 |
上皮成長因子は、ドパミン作動性神経系の分化発達ならびにその機能維持に作用することが示唆されている神経栄養因子である。これまで上皮成長因子によるドパミン神経系の機能修飾作用と動物の行動異常は、シクロオキシゲナーゼの誘導と、それにより合成されたプロスタグランジンが関わっていることを見いだした。この神経栄養因子の作用で現れる社会性行動の障害が、ドパミン神経系の発達段階の過程において、どの時期に影響を受けたためなのかを特定し、そのメカニズムを解明する。 (方法)妊娠マウスの発達段階(妊娠1日、妊娠7日、妊娠14日、生後1日)において、上皮成長因子を投与したところ、妊娠7日および14日目の投与群のマウスでは成熟後に社会性行動の障害が認められたので、シクロオキシゲナーゼ阻害剤を投与することで社会性行動が回復するのか解析した。また、14日目の投与群のマウスにおいて、前頭皮質におけるシクロオキシゲナーゼの発現誘導が増加したので、その時期に、シクロオキシゲナーゼ阻害剤を投与し、行動を解析した。 (結果)妊娠マウスの発達段階である妊娠7日および14日に上皮成長因子を投与したマウスに、成熟後においてシクロオキシゲナーゼ阻害剤を経口投与したところ、社会性行動の回復は認められなかった。妊娠マウスの発達段階(妊娠1日、妊娠7日、妊娠14日、生後1日)の内、妊娠14日目に投与したマウスの前頭皮質においてシクロオキシゲナーゼの発現が増加していたため、同時にシクロオキシゲナーゼ阻害剤を投与し、その成熟後での行動解析を行ったところ、社会性行動の障害が改善したが、対照動物のレベルまでは回復しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物に阻害剤を投与しその効果を解析できたが、その動物におけるドパミン関連たんぱく質の発現量とモノアミン量の解析まで進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠14日目に上皮成長因子の投与と同時にシクロオキシゲナーゼ阻害剤を投与し、その成熟後での行動解析を行ったところ、社会性行動の障害が改善したことから、妊娠14日目に投与するマウスを用いてドパミン関連たんぱく質の発現量とモノアミン量の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)前年度からの繰り越しの助成金があり、それを使用していたために、使用予定額が少なくなった。また、実験動物の作製に時間を要し、その後の薬理実験が計画通りに進行できなかったため、使用を予定していた物品の購入が少なくなった。
(使用計画)引き続き、実験動物や阻害剤等の購入し、実験動物へ投与する。他の薬剤を使用し薬理実験を行うため、予算を使用する計画で、現時点で順次解析を進めている。
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