上皮成長因子はドパミン作動性神経系の分化発達ならびにその機能維持に働くことが示唆されている神経栄養因子であり、細胞間の相互作用を担う拡散性のタンパク質因子である。今回、上皮成長因子による神経炎症に対する働きを調べるために、マウスに投与し炎症誘発と行動との関係を解析した。その結果、動物の社会性行動の障害は発達段階でのシクロオキシゲナーゼの発現誘導が関わっていることを見いだした。その障害はドパミン神経系の発達段階において、妊娠14日目前後に影響を受けることが判明した。これらのことから、出生前の前頭皮質における炎症誘発がドパミン神経に作用し社会性行動異常を誘導することが示唆された。
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