研究課題/領域番号 |
15K07993
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
當銘 一文 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (80563981)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生薬 / 定量分析 / 定量NMR / LCMS / プロファイリング / メタボロミクス |
研究実績の概要 |
多数の成分からなる和漢薬は,各成分が複合的に作用し治療効果を示すと考えられる.しかしながら成分が複雑系であることから,その作用機構に関しては未解明な部分が多い. 本研究では,和漢薬の特徴である複合成分の包括的な理解をめざし,従来から行われているHPLC法に基づく成分プロファイリングとともにNMRを活用した成分プロファイリング法を新たに導入することにより,より精度の高い和漢薬成分のプロファイリングを実現し,薬理活性成分の効率的かつ迅速な同定や,和漢薬複合成分の正確な理解による高精度の品質管理に貢献することを目的としている. 本年度は車前子,ジンギョウの抽出物について1H NMRデータの取得を行い,新たに導入したメタボロームソフトウェアを用い成分プロファイリングについて検討を行った.ジンギョウについては主成分のゲンチオピクロサイドの含量が高かったため,他のマイナー成分のシグナルを考慮した分析を行うことが困難であったため,データ解析法について検討を進めている. また,生薬成分のqNMR法による精密定量法の確立では,車前子の成分であるアウクビンについて検討を行った.車前子の抽出物を直接用い,qNMR法でアウクビンを定量することはできなかったが,アウクビン標準品の純度をqNMRで定量した後,これを用いた検量線法でLCMS分析を行うことでアウクビンを精密に定量することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を遂行するために必要な機器等については,本研究費の他,運営費交付金などを活用し順調に整備することができ,研究環境は整えることができた.一方で,実験の面では研究室メンバーの人的資源が不足していたことから,計画していた検討を一部実施することができなかったが,想定の範囲内である.しかしながら28年度は研究室メンバーが増員したため,この遅れを取り戻すべく,研究を進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の検討で1H NMRを用いた成分プロファイリング法については,主成分が高含量であったジンギョウについては十分な条件が確立できていないため,マイナー成分のプロファイリングができる条件について検討を行う.さらに他の生薬のプロファイリングについても積極的に検討を進める. 定量NMR法については,昨年度に検討を進めたものの,十分に条件を確立できなかった生薬について早急に検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに経費執行を行ったが,予定していたソフトウェアが計画より安価に購入できたため,残額が生じた.これについてはあえて使い切りを行わなかったため,次年度に繰り越すことととしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,計画通りに試薬,器具などの消耗品を中心に使用していく予定である. 昨年度の残金については,器具や備品の修理や,消耗品の購入に充て,より効率的な研究が遂行できるよう使用する予定である.
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