研究課題/領域番号 |
15K07999
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
林 宏明 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (50260998)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 甘草 / グリチルリチン酸 / サポニン / 成分変異 |
研究実績の概要 |
重要生薬である甘草の基原植物のGlycyrrhiza uralensisの収集系統の中から選抜したグリチルリチン酸高生産株(T628系統)とグリチルリチン酸非生産株(83-555系統)に関しては、薬用植物園の圃場での栽培とともに、今回の科学研究費で導入した人工気象器を用いて子孫系統を個体別に解析することで、高生産や非生産に関与する遺伝的背景を明らかにすることを試みた。子孫系統の変異の幅は非常に大きく、今後詳細に検討する予定である。また、グリチルリチン酸生合成調節の環境因子の探索を行うため、人工気象器を用いて各種条件での栽培を試み、高温条件により顕著にグリチルリチン酸生合成が低下することを明らかにした。さらに、タジキスタンで採集したGlycyrrhizia glabraとGlycyrrhiza bucaricaに関しては、これまでの研究成果を論文発表するとともに、 タジキスタンに固有なカンゾウ属植物であるGlycyrrhiza bucaricaは、葉緑体遺伝子配列からGlycyrrhiza uralensisと近縁であると推定されるにもかかわらず、グリチルリチン酸を生産していない。そこで、Glycyrrhiza bucaricaの地下部からサポニンを検索したところ、グリチルリチン酸と構造に類似性は見られるものの、これまでに報告されていない新規な構造のサポニンを複数単離して構造決定を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タジキスタンのカンゾウに関する研究成果を論文発表するなど、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに研究してきた高含量株と非生産株の子孫系統の比較を詳細に進めることで、サポニン生産性に関する遺伝的背景を明らかにする端緒を見つけたいと考えている。また、タジキスタンで採集したG. bucharicaに関しては、成分構造の違いを明らかにできたことから、今後は生合成酵素の変異を明らかにするとともに、グリチルリチン酸の多様な生理活性に関連する構造活性相関を明らかにしていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を遂行する上で必要な消耗品は購入したが残額が残ったので、今後の比較的高価な消耗品購入に備えて次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は最終年度であるため、年度内に適正に使用する予定である。
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