重要生薬である甘草の基原植物であるカンゾウ属植物の各種収集系統の中から選抜したグリチルリチン酸高生産Glycyrrhiza uralensis系統(T628)に関して、T628系統を人工気象器内で栽培して各種条件下でのグリチルリチン酸生産能を比較解析するとともに、本学薬用植物園の圃場にて栽培したT628系統から採集した種子を発芽させ、人工気象器内で栽培した。これらのT628系統の子系統も高グリチルリチン酸含量を示したが、子系統間での大きな個体間変異が観察された。以上の結果に関しては学会発表を行なった。また、これまでに報告しているグリチルリチン酸非生産系統(83-555)に関しても、すでに論文発表している地下部の主要サポニンであるグルコグリチルリチンに加えて、数種の新規サポニン成分の単離を進め、生理活性の比較試験に用いるのに十分な量の各種サポニンを収集することができた。なお、83-555系統に関しては、これまで進めてきた83-555系統の子孫系統のpkr遺伝子型とサポニン成分組成を比較解析した結果に関して学会発表を行なった。さらに、タジキスタンに固有のカンゾウ属植物であり、葉緑体のrbcL遺伝子配列によりGlycyrrhiza uralensis等のグリチルリチン生産種と非常に近縁であることが示されたGlycyrrhiza bucharicaに関しても、その新規サポニン成分を単離構造決定して学会発表を行なった。
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