研究実績の概要 |
標的タンパク質を釣り上げるためのリガンド作製は、叶らによって報告されている光親和型小分子固定化法を改良した開裂型リンカーを導入したagarose-beadsを用いた(Kanoh, N. et al. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2003, 42, 5584-5587. Kanoh, N. et al. Bioconjug. chem. 2010, 21, 182-186)。プルダウン実験により、aurodox結合タンパク質を検出した。EPECのcell lysateとaurodox/agarose-beads化体をローテーターにより各種の条件でインキュベーションし結合条件を最適化した。結合反応後に、SDS-PAGEによる分析から特異的な結合タンパク質バンドをクマシーブリリアントブルー染色法により検出した。結合タンパク質群を抽出し、LC-MS/MSおよびマスコット解析から標的タンパク質候補群を同定した。現在までに、aurodox/agarose-beads化体を用いて、特異的に結合する3つのタンパク質の検出に成功した。 加えて、平成27年度は調製・供給された糸状菌培養物2,208サンプルおよび放線菌培養物1,760サンプルの合計3,968サンプルを用いて、EPECを検定菌として羊赤血球の溶血阻害活性を指標に3型分泌装置阻害剤の探索を実施した。結果として、Streptomyces sp. K14-0012株培養物より、guadinomine AおよびBをそれぞれ単離・構造同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに研究を実施できたために、平成27年度の研究成果はおおむね達成されている。現在までに、aurodox/agarose-beads化体を用いて、特異的に結合する3つのタンパク質をコードする遺伝子破壊株の作製を行っている。あわせて標的タンパク質候補の遺伝子クローニングを行い標的タンパク質の発現と精製も検討している。 加えて放線菌、糸状菌培養物から2,208検体、1,760検体の合計3,968検体を用いてスクリーニングを行った。一次通過基準(溶血を示さなかったもの):12サンプル、二次通過基準(抗菌活性を示さなかったもの):1サンプルであった。Streptomyces sp. K14-0012株培養物より、guadinomine AおよびBと推定される化合物をそれぞれ単離した。平成28年度においても微生物培養物より3型分泌装置阻害剤の探索を実施可能である。
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