研究課題/領域番号 |
15K08002
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
高松 智 昭和大学, 薬学部, 准教授 (30236351)
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研究分担者 |
福村 基徳 昭和大学, 薬学部, 講師 (00407529)
小池 佑果 昭和大学, 薬学部, 助教 (10644479)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 老化 / 生薬・漢方 / 活性酸素 / 線虫 / SIRT1 |
研究実績の概要 |
酸化ストレスと老化・寿命との関係に着目し、天然由来の抗老化化合物の探索を目的に、抗酸化作用の評価系として細胞内過酸化物測定のDCFH-DA法とDPPHラジカル測定法などの簡便な評価系を組み合わせて、96種の生薬エキスをスクリーニングした。その結果、キョウカツ、トウキ、トウドクカツ、トウヒ、ロートコンの各エキスが酸化ストレスを軽減することを見出した。その内、長寿遺伝子産物SIRT1を活性化するものとして、トウドクカツ(セリ科シシウドの根)より、xanthotoxin、ostholやbergaptenなど7種のクマリン誘導体を分離した。これらの化合物はSIRT1を1.2-1.8倍程活性化することが確認されたが、元のエキスの活性(約6倍)に比較して弱いものであった。 さらに生薬エキスのスクリーニングを継続し、いずれの評価においても陽性対照であるビタミンCと同程度の抗酸化活性の認められた生薬アシタバ(セリ科アシタバの葉)とガイヨウ(キク科ヨモギ又はオオヨモギの葉や枝先)を見出した。しかし、これらのエキスについて線虫を用いた寿命に対する影響を調べたところ、寿命の延長は認められなかった。 また、漢方薬の抗老化作用の網羅的評価を開始した。抗老化の期待できる3種の血剤(キュウ帰膠艾湯、加味帰脾湯、大黄牡丹皮湯)と3種の補益強壮剤(十全大補湯、補中益気湯、人参養栄湯)について線虫の寿命に対する影響を評価した。血剤はいずれも線虫の寿命を4%ほど延長した。一方で、補益強壮剤は8-15%の寿命延長が認められ、補中益気湯が15%と最も線虫の寿命延長が認められた。これは陽性対照であるレスベラトロール(12%)と同等以上の効果であった。今回評価した漢方薬は、DCFH-DA法やDPPH法による抗酸化活性は弱いものであり、線虫の寿命延長効果のメカニズムは抗酸化活性以外にあることが示唆された。
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