研究課題/領域番号 |
15K08003
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小池 一男 東邦大学, 薬学部, 教授 (30130363)
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研究分担者 |
李 巍 東邦大学, 薬学部, 准教授 (90328633)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医療用漢方製剤 / 糖代謝異常疾患 / 糖尿病 / 麻子仁丸 / プロティンチロシンホスファターゼ1B / AGEs / aldose reductase |
研究実績の概要 |
本研究は医療用漢方製剤の糖代謝異常疾患の分子標的に対する作用を指標として、活性成分および作用機序の解明により、医療用漢方製剤の糖代謝異常疾患への有用性を基礎科学的に明らかにすることを研究目的とする。 平成27年度においては、インスリン抵抗性糖尿病の創薬分子標的であるプロティンチロシンホスファターゼ1B(PTP1B)のHigh-throughputアッセイ系を用い、経口医療用漢方製剤147処方についてPTP1B阻害活性を評価した。その結果、大黄甘草湯、麻子仁丸、桃核承気湯、桂麻各半湯および調胃承気湯に高い阻害活性を示した。詳細なPTP1B阻害活性評価、作用機序解析および漢方学的考察により、麻子仁丸が最も優れた結果を示した。麻子仁丸の活性成分については、bioassay-guided fractionation法を用いてPTP1B阻害活性成分を単離し、更にスペクトル解析により構造決定した結果、麻子仁丸のPTP1B阻害活性成分は厚朴由来のmagnololおよび大黄由来のchrysophanolと同定した。 一方、経口医療用漢方製剤147処方について、糖尿病性合併症の創薬分子標的advanced glycation end products (AGEs)生成阻害活性およびaldose reductase(AR)阻害活性を評価した。その結果、辛夷清肺湯に高いAGEs生成阻害活性、治打撲一方に高いAR阻害活性が認められた。活性成分の詳細については、現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経口医療用漢方製剤147処方について糖代謝異常疾患の分子標的3種に対する作用を評価して、それぞれ高い阻害活性を示す処方をヒットした。さらに、PTP1B阻害活性を示す麻子仁丸の活性成分を同定できた。
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今後の研究の推進方策 |
高いAGEs生成阻害活性を示す辛夷清肺湯、および高いAR阻害活性を示す治打撲一方の活性成分を明らかにする。 漢方薬の多成分系による多作用標的の特性を考慮して、麻子仁丸の全成分解析を行い、他の糖代謝異常疾患の分子標的への作用も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
PTP1B阻害活性測定に使用する試薬が予定より少ない量で活性測定ができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度のAGEs生成抑制活性測定およびAR阻害活性測定の試薬購入に使用する予定である。
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